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レスは禁止です


邂逅―その壱―
By ファル&玖郎
2016-05-09 04:35:54

裏通りの一角。黒髪の一部に灰色のメッシュが入った、襟足の長い青年が一人。
壁に寄りかかり、待ち合わせている様子。
するとそこへ、赤髪にサングラスをかけた男が夜闇から現れる。

『お前か?情報が欲しいって男は。』

赤髪の男、ファルは青年に話しかけた。
青年、玖郎は話しかけてきた男を見れば、不躾にもじっと見つめて動きを止める。
その眼差しの意味が分からず訝しげに眉を顰めたファルに、玖郎は仕切り直すように口許に笑みを浮かべた。

『はい。実は探し物を頼まれたんですけど、この世界に着たばかりで無知なものですから。』

ようやく答えてきた玖郎に、ファルは朗らかな微笑みを浮かべる青年を観察する。

そういえばと、少し前に異次元の狭間から救出した男を思い出す。
異次元の狭間から救出した者は数少なく、自らが察知して助けたのだから記憶にも残りやすい。
ファルはこの青年もその一人だということを思い出した。

『あの…セリさんのお知り合いの、悪魔の方ですか?』

ファルが思い出していた時に、玖郎も思っていた事がつい唇から溢れた。

『…?…そうだが…セリアがどうした?』

ファルはまたしても訝しげに眉を顰める。どうしてその名が出てくるのかと。
それとは反対に、玖郎は何かを悟ったのか合点がいった様子でファルをしげしげと見つめている。

『いえ、あなたの話をセリさんから窺っていたので、確認しただけです。』

『セリアから?』

状況が分からず、訳が分からないといった様子のファルに玖郎はクスリと笑った。

『セリさんとは"親しい"んですよね。』

『……ああ、まぁな。』

問いかけのような言葉に、ファルは少し考えた後に肯定の言葉として答える。
それを見た玖郎はさらに、可笑しそうにクスクスと笑い出した。ファルは何か可笑しい事があるのかと、眉を寄せる。

『すみません、セリさんと同じ反応だったので…似てるんですね。』

何やら確信めいた視線を向ける玖郎と、なんなんだと困惑するファル。

その後、仕事の話をしてから互いに名を名乗り別れる二人。
ファルと玖郎の出会いは、こうして他愛なく終わったのだった━━


Fin.


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