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レスは禁止です
朝の会話
By セリシアーシャ
2016-02-07 07:42:47
「楽しそうね」
人の言葉などお構いなし。誰の部屋だと聞いたところで、従うような女ではない。私が選んだ姉は、そういう女性。
なにが、と、疑問が恐らく顔に出ていたのか、自分の部屋で朝の身支度をしていた私に、ヴィアレスが笑う。
「最近、何だか楽しそう。坊やとなかなか会えないのに、どうしてかしら?」
「私もファルも、世界のすべてがお互いではない。きっとそうなってしまったなら、きっとどこかで虚無感に襲われる。私とファルは、この距離感が良いのだろう。」
ファルにとって、そして私にとって、ただ一人が全てだといえば、あまりにも甘美に聞こえるだろう。
しかし、現実はそうではない。
彼には彼のやるべきこと。私には私のやるべきこと。それを背負って生きている。
投げ出す気など毛頭ない。
それも全て含めて、私の世界なのだから。
「あっそ。あなた達って、生きてるだけで惚気てる存在よね。お互いに知らないことだって多いのに、よくそれで続いているわね。」
「私達における時間は、人間とは違うからな。…少しずつ知れれば、それで良い。」
「アタクシには無理。そんなに時間が必要な恋だなんて…途中で投げ捨ててしまいそう。」
「そうだろうな。本当に愛したもののことなら、そんなふうには思えんぞ。」
言って笑えば、恋愛初心者のくせに、とヴィアは悪態つく。
彼女なりに、私の恋の応援をしてくれる。それが分かって、なおも笑った。
いつか彼女に、楽しそうだな、と、私が聞ける日を待ちわびながら…。
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