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レスは禁止です


片鱗
By 闇夜桜
2010-08-18 22:18:58

『有難う。お前らが居なかったら、どうなっていたか…』

「いえ。礼には及びませんよ」

治療を終えベッドの上から礼を言う同僚に笑みを向け返答する。
他の仲間達が彼に言葉を掛ける中、医務室を出た



「………」



─────…


郊外の巡視の最中、同じ任務に就いていた同僚が魔物に襲われた

最初に気付いたのは自分。直ぐに助けに向かえば彼は怪我を負うことも無かったはずだ



しかし、何も出来なかった…違う、何もしなかった



想像してしまった

期待してしまった


───その先を。




『おい!どうした!?』


事態に気が付いた他の連中の声に弾かれたように刀を抜いた

ほんの一瞬の出来事
幸い、同僚は軽傷に済んだのだが…


─────…



ふと視線を外に向ける

窓硝子に映った昔の自分が笑いかけているように見えた

突き出した拳がそれを砕く


「少し疲れているらしい」


溜め息を吐くと、騒音を聞いた仲間が何人か顔を出す

硝子で切れた手を庇いながら


「あはは、済みません。思いきり伸びたら当たってしまいまして」


何だよ、呆れた奴だ…と皆は笑った


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