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投稿小説短編集
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[001] レオとなのはの無人島ライフ
By 永瀬皓哉
2012-10-03 23:12:37
 いったいどこで間違えてしまったんだろう。今となっては、それを思い出すこともできない。
 ただここのところ忙しかったから休暇をとって、ファルドさんの部隊にはやてちゃんから手回しをしてもらって強制休暇をとらせつつ、偶然を装ってデートに誘おうという、ちょっと小ずるい思考を巡らせただけだ。
 なのに、いつの間にこんなことになっていたんだろう。おかしいなぁ、わたしはただ……しあわせになりたかっただけなのに……。いやまだ死んでないよ、なに言ってるの。

「なーのーはー?」
「ほんと、どうしてこうなったの……」

 目の前でひらひらと手をぶらつかせてわたしの意識を確認しているレオさんを見ながら、わたしは珍しく特撮ネタを口走るのでした。





「説明しよう! ここは無人島である! 説明おわり」
「無意味に声を張ると体力を消耗するよレオさん」

 わたしとレオさんがこの無人島に(決して望んだわけではないけれど)訪れて1週間。
 あの日、レオさんとリリスさんの喧嘩(という名の小規模な戦争)の余波に巻き込まれたわたしは、二人の戦いの影響で荒れに荒れた海へと投げ出され、レオさんと一緒にこの無人島に流れ着いた。

 レオさんに聞いた話では、この島に到着するまでの道中、サメに1回、大ダコに2回、餌不足でキレそうになってたシャチに1回、人間を軽く丸のみにしそうな猛毒のウミヘビに3回ほど襲われたらしいけど、わたしは3日3晩ずっと眠っていたらしい。
 いや、より正確には何度か目を覚ましたのだけど、その度に目の前まで危機が迫っていて、起きる→気絶→起きる→気絶を繰り返していたみたいです。守ってくれてありがとうレオさん。でもこれ元はといえばレオさんの仕業だからね。

「ごめんなのは……せっかくファルドとデートする予定だったのに……」
「もういいよ、その件は。別にレオさんだって悪気が……少なくともわたしたちに対してあったわけじゃないし」
「俺がクソアマを海に沈めようと雷帝を降ろして嵐なんか起こさなければ……!」

 やってることは物凄く規格外なんだけど、使い道があまりにもしょうもない。
 けどまぁ、これはこれでレオさんらしいというか、(少なくともリリスさん以外に対しては)本気で人を殺すために力を使おうとしないあたりは尊敬してるんだよね。
 それに、リリスさんとのいざこざも最初は驚いてたけど、最近はあれがこの人たちなりのじゃれあいというか、スキンシップなんじゃないかと思い始めてきた。

「おのれクソアマ! 絶゙対゙に゙ゆ゙る゙ざん゙!」

 ……うん、思うだけなら悪くないよね。

「しかしこの島が木の実やらキノコやら、食べ物に困るような場所じゃなくて本当によかったよ」
「そうだね。魚は簡単なものなら調理できるけど、どれが有毒かわからないもんね。レオさん料理できないし」
「俺のは無毒の食べ物すら毒物に変わるからな。なのはがいなきゃ今頃はじいちゃんとばあちゃんのところに行ってひたすらノロケを聞かされてるよ」

 ああ、うん。その切り返しはなんとなく想像してた。
 遠い目をして現実から目を逸らしているレオさんには悪いけど、実際レオさんの料理はかなり危険だ。
 外見も調理過程もまともなのに、どうして味と性質があそこまで危ないものになるんだろう。はやてちゃんとお母さんの二人を以てして、匙を投げてしまうほどだった。

「レイジングハートが無事なら現在地も把握できるんだけど……」
「パーツさえあればすぐにでも直せるってだけに、なおさらもどかしいな」
「うん、故障っていうか、単純にどこかのパーツが寿命を迎えちゃってるだけだから、そこを交換できればすぐ直るよ」

 こういう時、一番の頼みの綱はレイジングハートのナビゲーション機能なんだけど、ここのところ一部のパーツの調子が悪くて、近いうちにメンテナンスに出そうとしていた矢先にこれだったため、タイミング悪く故障してしまっている。
 レオさんの行動範囲は、海だろうと空だろうと足が健在なら無限らしいんだけど、どっちに向かえば人の住んでいる陸地があるかわからない上、わたしを連れていくには筋力が足りず、一人で出ていくと目印もなしでは戻ってこられないだろうということで、ここを出られない。
 じゃあレオさんだけでも、とは言おうとしたんだけど、そう言ったところでレオさんが頷くとは思えなかったし、何より今こうしている間にもきっとファルドさんがわたしたちを探してくれていると思うと、あまり不安は感じない。

「ファルドに見つかったらなんて言い訳しよう……」
「だ、大丈夫だよ! ……たぶん」
「違うんだファルド、別に俺はなのはを狙ったわけでも望んで誘拐したわけでもなく、ただ事故で、そう! 事故なんだよ事故! 決してやましい気持ちがあったわけじゃないんだ、むしろそういった感情はマナやレイ姉さんにどっぷりたっぷりねっとり注いでいるわけで、お手付きの女に……ましてやファルドの(未来の)嫁に手を出すようなバカな真似はリンでもない限り絶対にしないし、何より俺にそういう趣味はないというか、ぶっちゃけなのはって守備範囲外……いやいやいや別になのはが悪いわけじゃないんだごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 怖がりすぎだよレオさん……。







 オチなし! 高確率で続く。
pc
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