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投稿小説短編集
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[001] おいでませ別次元のお客様
By アメリカ兎
2012-08-16 19:38:52
 マスター宅。毎度ながらよく知らない次元のよく分からない輩が何故か招かれる一軒家。逆らうな、慣れろ。さすれば汝のメンタルは鋼の如き強固な壁となろう──というわけでメイドのリョウカはちょっとやそっとじゃ驚かない奉仕者の鏡となっていた。

 今回のお宅訪問者──レグナ・デスティニー&キキョウ。

「…………」
「ご主人、美味しいですよコレ」
「それは良かったな」
 皿一杯に積み立てられた山の様なクッキーをリスのように頬張るキキョウと、お茶を飲みながら静かに過ごすレグナ。マスターはと言うとロックバンドで過労死するメトロノームのような勢いでもふもふと振られているキキョウの尻尾が気になっていた。埃が立つので出来れば押さえてもらいたいところ。
 リョウカはキッチンでお菓子作り中だ。

 マスター曰く『この世の果てまで真理追求中の探究者と依頼の成り行きで出会った、以上』──それを何故自宅まで連れて帰って来たのか。原因は全てお供のキキョウにある。
 レグナの場合、そのわがままを仕方なく聞きいれた。
 マスターの場合、カモが来た(この時のカモとはカモ鍋のカモではなく玩具のこと)

 そして現在。マスターの目論見通り見ていて面白い反応をしてくれていた。主に尻尾が。その視線にレグナも気付いているのか二人揃って一点を見つめる。

「……な、なんですご主人? マスターさんも」
「…………いや、別に」
「ああ、なんでもねえよ」
 このクッキーの量はなんなのか、と。偶々帰り際に同業者から親切(という名目のありがた迷惑)で譲り受けた箱入り小麦粉が驚きの四箱。流石に自宅にこれだけ置いても邪魔なのでその足でスーパー突入、卵と砂糖その他を購入して消費することにしたのだ。尚、その同業者が何故そんなに持っていたのかと言うと『嫁さんが菓子作りにはまってたからありったけ買ったところそんなにいらないと張り手を貰った』とのこと。真っ赤な頬で笑顔を見せていた。

「マスターさん、そんなに焼いてどうするんですか?」
「心配すんなリョウカ。あと三段は残ってる。余ったら適当に詰めて知り合いに配るし問題ない」
「私も持って帰っていいれふか!」
「そりゃもう大量に持って帰れ」
「……キキョウ、食いながら話すな」
「ふいまへん」
 キッチンタイマーがベル音を鳴らす。そして取り出される焼き立てのクッキー(追加分)にキキョウが複雑な表情をしていた。
 マスターが時計を見る。

「……時間、大丈夫か?」
「急ぎの用はない。……それがどうした」
「いや、そろそろ出た方がアンタのお供の為だと思うだけだ」
「……キキョウの?」
「はむ?」
 甘い物に夢中だったキキョウが反応したが、遅かった。レグナが席を立とうとした刹那の差で帰ってくる義妹にマスターは頭を押さえる。

「たっだいまー! わ、なんですかこ──」
 “このクッキーの山は”、と言う思考言語は大幅カット、驚きの九割。その視線はキキョウの耳と尻尾を捕捉していた。

「この可愛い子誰ですか、きゃー! キャー、可愛い〜! もっふもふ〜、ん〜」
「きゃふん!? ゲホ、ゲホ……!」
「……………………」
「……ほらな」
「リンファちゃんおかえりなさいませ」
 リンファが抱きつく。キキョウがむせる。レグナ呆然。マスター悟る。リョウカは通常運転。

「マスター。部屋は余ってるか」
「一部屋だけな。無料の良心価格だ」



〜あとがき〜
 そしてあとがき。現在本編でも短編版でもちゃっかり活躍中のレグナさんチーッス!なお話。出番皆無に等しいキキョウちゃんもちゃっす。
 まぁなんだ。書きたかったんだ、特にこれといって意味もなく地味にキャラ崩壊させながら。すまなんだ。

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