投稿小説短編集
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黒髪(馬鹿)と金髪(馬鹿)
By 神楽坂
2012-06-26 14:37:10
男は技術者であり、研究者であった。
自身の持つ様々なスキルを使い、無駄にハイスペックなモノを創る。そして、それを気に入った人物に売り、その日の生計を経てていた。
初めは苦しい生活であったが、その無駄にハイスペックな機能がクチコミで広がり、今では知る人ぞ知るような人物になっていた。その代わり、無駄な敵も増えたのだが、男は概ね満足のいく生活を送っていた。
「本当にこれは凄かったぞ。この間、Aランクくらいの砲撃魔法を向けられたんだけど、普通に防ぎきっちまった。こんな小さい腕輪のどこにそんな力があるんだ?てか、何で作られてんの?」
「うん?確かそれは廃棄物処理場にあった電子レンジとゲーム機だったかな。それに、おっちゃんの髪を混ぜてる」
その日も自由気ままに色々と作っていたのだが、懇意にしてもらっている人物が訪れてきたので今はその人物と軽く話し込んでいた。
そのなかで、彼の作品の材料について触れられるのだが、素直に答えたのに相手は目を見開き、信じられないような顔をしている。
「冗談だろ?そんなモンでこんな凄いのを作れるワケがねぇよ」
「いやいや、どのようなモノでもあれくらいは作れないと、一流とは言えないよ」
「マジかよ!?てかそれなら俺は廃棄物に命守られてたってことか!?いや、生きてるから良いのか?……いやいや、そもそもそれなら信用出来んのか?でも、こいつの作ったモンはどれも信用に足りるヤツだし……」
暫し沈黙が流れた後に、おっちゃんのマシンガントークが炸裂するが、男は飄々とそれをかわしていく。すると、おっちゃんは頭を抱えながら何かブツブツと呟きだした。
「さて、おっちゃん。今日は行くところがあるからもう店じまいするよ」
「ん?どこに行くってんだ?」
「廃棄物処理場」
そんなおっちゃんに一言掛けて、出掛ける準備をする。その後ろでおっちゃんが頭を抱えながら何かを叫んでいるが気にしない。
こうして、彼は慣れ親しんだ廃棄物処理場へと向かって行く。
「(さて、今日は何があるかな?)」
普通の人から見たらガラクタと呼べるモノを掻き分け、彼はめぼしいモノを探していく。
そんなことを30分も続けていたら、見た目は綺麗なパソコンを見つけた。
「うん?」
「ん?」
いざ、それのもとに向かい、さあ掘り起こそうとした瞬間、彼とは別の場所から1人の人物がそのパソコンへと手を伸ばしていた。
その人物は、金髪で、ドックタグが目立つ風貌をしている。
運命だとか、そのような言葉がこの世には沢山あるのだが、果たしてそれらには統一性などがあるのだろうか?そして、あるとしたら、どの様な輩がそれを管理しているのだろう。
この出会いが運命によるモノなのかは、誰にも分からない。
ただ、言えることは……――
「(ゾクッ!?)」
「どうした?」
「いや、何か急に背筋に悪寒が……」
――この出会いにより、ある人物に凄まじい死亡フラグが立ち上がったということだろう。
そんな事など露知らず、茶色がかった黒髪の男と、金髪の男は意気投合し、がっちりと握手をしているのだった。
――――――終わっとけ――――――
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