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投稿小説短編集
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[001] 蒼い悪魔×蒼い神魔
By L
2012-06-02 13:15:48
――全く以て予想外だった


「簡単な仕事」として紹介されたはずの内容は、開けてびっくりパンドラの箱。
それも、最後に残るのは夢でも希望でもなく飛びっきりの絶望。

依頼されたのはある街を牛耳るトップの男の身柄の確保、或いは消去。
その男は敬虔な聖職者にして、同時にその身一つでその街の「裏」をまとめ上げた実力者。
救世主を思わせる誠実性とファシストを彷彿させるカリスマ性。濁りきった"上"の者とは決して混ざらないその純水は、余りにも綺麗すぎる。

幸い、「蒼い悪魔」には恰好の獲物。聖職者でありながら、表も裏も牛耳るという矛盾を孕んだ偽善者に現実を突き付け、更には多額の報酬が手に入る。
これ以上ない最高の依頼だった。

――ただ一つの誤算は、彼に『最悪の護衛』が付いたこと。




――全く以て予想通りだった。


「お願い」を受け入れたのは、一宿一飯の恩義。例え鬼が出ようと蛇が出ようと構わない。

一人の少女から頼まれたのは、彼女の父の守り手。
その父は、腐敗した国を変えるために一人で全ての罪を背負うつもりの馬鹿な男。
正義を信じる聖職者にして、悪も律する事を余儀なくされた哀れな男。
愛する者達の為に、汚水をはねのける最後の防波堤。

幸い、「蒼い神魔」はそんな馬鹿は嫌いじゃなかった。何故なら彼も馬鹿だから。
己の全てを擲って、他者を守る正義の味方。ならばその彼を守るセイギノミカタは引き受けよう。
その懐に彼の娘から貰った、ただ一枚の金貨を忍ばせて。

――そら、正義を嘲笑う悪魔がやってきた。




「……こっから先は通行止めだ」

「そうらしいなぁ」

言うが早く、2つの蒼い影が空中で交錯する。
その手にはお互いの身の丈ほどの巨大な剣。


「ヴェンス・ラグナァァァァァル!!」

「マスター・ハーベルグッッッ!!」


その日、上空には灼熱と滅びが互いを食い合う地獄の光景が浮かんでいた。




『ヴェンス・ラグナール』

Lの厨二病全盛期時代に生まれたキャラ。要は黒歴史。
職業は何でも屋みたいなもん。
父方の先祖が魔神で先祖返り。
その能力は滅亡。
世界の根源的な力、『誕生と滅亡』の片割れである。

ぶっちゃけて言えばマスターとテーマカラーだとか結構被ってたりしてたry
でも信念は真逆。利害関係の一致があれば悪ノリすることはあるが、基本的に相容れない。
元の名前は語呂が悪かったので一文字切りました。
W63H
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