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ブラック組織MOSA

≫ マスカレード・ポイズン(加筆修正版)
By クロポン
08-18 00:00
(_`-ω-)_ 頑張ります!!

≫ By クロポン
09-05 00:00

【P10】


瀬能は少女を背負い校舎へ向かう。

その足取りは急いではいるが、雨に濡れた体は思いの外、重い。

『…待ってろよ。今、保健室に連れてってやるから……』

瀬能は必死で校舎まで駆ける。

校舎に着くなりドアを勢いよく開き、靴を脱ぎ捨てると上履きにも履き替えないまま、瀬能は一直線に保健室へと向かった。

『………っ…』

その間に、背負った少女の額からは一筋の血が流れ落ち、瀬能の肩へ水滴と共に落ち、滲む。

『―!』

ポタポタと水滴混じりの血液が滲み出し、衣服を伝った。

真っ直ぐ前を向いていても肩に通って来る血の重みが、何よりひしひしと瀬能を急き立てる。

(やべぇよ! やべぇよーーー! もう!!)

『瀬能!!』

丁度、駆け付けて来た誠二達と合流した。

『誠二!! なぁ、どうしよう!! 俺!! 俺っ…俺……!!』

瀬能は真っ青な顔を誠二へ向けた。

『あぁーーー!!! 落ち着け!! 頭突くぞ! とにかく保健室だろ!!』

誠二は瀬能を一喝し先頭を切って保健室へ向かう。

『どけ!! どけーーーー!!!』

通路を遮る生徒たちに道を開けるよう叫ぶ。

大声を上げて人混みの中、掻き分けて行くそんな誠二を、その隣で夏花が不思議そうに眺める。

『どうかしたか? なつ』

『せいじくん…、赤毛くんに似てきたね。ちょっと前のせいじくんなら、他人の為にそこまでしなかった』

『う!? ……そ、そんな事ねぇよ!! アイツなんかとは似て非なり!!』

頬を赤らめる誠二の姿に夏花は少し微笑んだ。



一路、保健室に着くやいなや誠二はドアを勢いよく開く。

『お頼み申す!』

『あら? どこの武士かしら?』

誠二の声を聞くと、背を向け座る保健婦が回転椅子に座ったままクルッと誠二と向かい合わせになる。

その佇まいは、白衣を纏い黒の長い髪を煌めかせ、胸元はシャツをV字に開き豊満な谷間を強調し、丈の短いスカートで足を組み、見えそうで見えない絶妙な領域を醸し出している。

彼女こそ小夜美高男子の夢とまで言われる保健室の先生、蝶野 さくらこ。



≫ By クロポン
09-03 21:30
【P9】


身長180もあろう瀬能に衝突されて、少女は容易くはね飛ばされてしまった。

そのまま校門向かいのコンクリート壁へとぶつかる。

『や…やべっ!!』

瀬能は慌てて駆け寄り、泥の中へ倒れそうになった少女を支えた。

『…お、おい!? 大丈夫か?』

しかし応答は無い。

少女はコンクリート壁へと叩き付けられた衝撃で気を失っている。

瀬能は暫しオロオロすると、彼女を背負い校舎へと向かった。

『ほ……ほっ…保健室! 保健室!』



丁度、その光景を教室の窓辺にて見ていた誠二は思わず声を漏らし、その声に日誌を付けていた夏花が駆け寄っていた。

誠二と夏花は顔を見合わせる。

『せいじくん! 大変だよ!!』

『なつ、俺、ちょっと行ってくる!』

『私も一緒に行くわ!』

慌ただしい二人の会話へ割って入るように、千葉が口を挟む。

『とうとう、人を殺しちゃったわね! あのトサカ女。あのまま背負って埋めにいくのよ、きっと!』

クネクネとニヤつく千葉の声も耳に入らない勢いで誠二と夏花は駆け出す。

『やんっ!! 誠二ボーイったら冷たくないの!?』



誠二達が教室を後にし少し経つ頃に、何も知らない安嬉がやって来た。

『あれれ? 誠ちゃんも瀬能もいない? ……ってか、瀬能の席で何、脱け殻みたいに白くなって座ってるんだよ? 千葉ちゃん……白いのは元々だけどさぁ、あしたのジョー?』

『グスン。今日の誠二ボーイはトサカ女と別れて、トサカ女が殺人を犯して、色んな事があって誠二ボーイったら私に冷たいのよ。波乱よ! 破綻よ!』

『はぁ??』

いつものように千葉の言葉と思考回路は理解不能で安嬉は首を傾げるしかなかった。



≫ By クロポン
09-01 22:30
【P8】


誠二はそのままトボトボと、一人肩を抱く千葉を置き去りに窓辺へと向かう。

『いいのよん! 恥ずかしがらなくても!! そんな・コ・ト・よ・り☆』

いつもにも増してくねる千葉。

『やっと、トサカ女と別れたのね♪ 誠二ボーイ!! イッツ正解!! う〜〜〜ん♪ アイツはアタシと誠二ボーイに嫉妬してアナタをそそのかしてた小悪魔なのよん!! うひゅひゅ。これで二人フォーりんラブねん!!』

誠二は只々そっぽを向き、相手にするのも疲れるだけなので、千葉を無視して窓辺の景色を頬杖を付いて眺めていた。

ふと眺めていた景色。

視線を下へ向けると校門前に黒い傘を差し、立ち尽くす者の姿が目に入る。

傘を傾け上を見上げると共に顔を覗かした、黒い傘と映えて透き通るような白い長髪が目立つ。

端正な面立ちの少女で校舎を見上げる姿に、誠二はいつの間にか景色ではなく黒傘の少女を目で追っていた。



『――ちくしょう…』

一方、瀬能はというと。

下駄箱にて上履きを履き替え、一人ブツブツと不満をこぼしていた。

『ばか誠二! ばかウニ! …誰が非ロックだ! 誰がチビだ! 誰が眼鏡だ! 誰が……………』

ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴ……

『チビガリ勉だぁぁああああああああああ!!!!!!!』

ぴえぇーーーーーーーーーん!!!!

遂に堪えきれなくなり、内面で感情が爆発する。

誠二はそこまで言ってはいないが、過剰な被害妄想の果てに、外の土砂降りの雨などどこしれ知らず、傘も持たず校舎を飛び出した。

ぴえぇーーーーーーーーーん
ぴえぇーーーーーーーーーん
ぴえぇーーーーーーーーーん

ぴぃい……………!!!?

――ドン!!!

土砂降りの雨と大粒の涙で視界を遮られたまま駆け出していた瀬能は、校門前に黒い傘を差す一人の少女が立ってる事へ気付かなかった。

気付いた時には既に遅く、そのまま瀬能は少女へぶつかる。

『きゃっ!』

黒い傘が天高く宙に舞う。



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