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LOGICAL×BURST

≫ By クロポン補佐官
12-03 16:38










パリパリと痺れる腕、
亀裂の入った渾身の結界、
それ越しに見た烈将さんの驚いた表情―。
力と力のぶつかった瞬間、
異形の大群も分身体の群れも
その空間一帯全ての時が
止まったかのように。






「―逃げますよ!」





烈将さんの手を取って
憑依状態の式神を呼び出し
思い切りアスファルトを踏み切った―。




『何て無茶な真似を!』




「烈将さんなら大丈夫、手加減してくれると踏んだからですよ」




先程の言葉を返すようそう言って笑う。





「―でも、この薬。霊力増強剤としては、駄目ですね。自分の霊圧が乱される……」




『……、手もだいぶ熱いようでやすが―』




「うん。頭の方も相当ボーッとして来てる」




『………』




「奴等を撒いて本来のルートに戻ります。それで良いですよね、烈将さん」




『貴方にお任せしやすよ―』




心底呆れた様子で呟いた
烈将さんの言葉に苦笑して、
異形共を路地へ置き去りに
漸く本来の道筋へと戻る。
背後からの追って来た
その気配に再び烈将さんを
振り回すかのように腕を取り
物影へと身を潜めた。





「(―キョウ、結界を…)」





式神の力で姿を隠して
自らもその力を殺す。
標的を見失った分身体達が
自分等を探し回って辺りを
飛び交っている。





『……こんな事が出来たとは―』




「(しっ、烈将さん黙って。声を出して奴等に気付かれれば、この結界は簡単に解けてしまう)」




指先から脈打つ度に
零れ落ちる血液の匂いまでは
この結界では隠し切れない。
隠れていた所でこの任務は
いつまで経っても終了しない。
初めからこのまま居る訳にいかない―、
そんな事は重々、承知済みだ。
隙を窺い結界を解除する。





「―行きましょう、烈将さん」




向かう先のゴールとやらは
廃墟と化した古い病院―。









≫ By クロポン補佐官
12-03 16:33










『はい、そこでやすが。奴等には今、貴方の姿しか映っていない―。例え殺したのが私めでも、それ以上に莫大な力が側に居れば当然、そちらが主犯と認識される…』




「んな、無茶苦茶なっ!」




『お気持ちは理解出来ますがね、もう全てが手遅れでやす―』




突き付けられた現状に
叩き落とされる絶望。
そんな二人の元へと迫る
その不穏の正体―。
路地奥の暗闇から躍りいで、
押し寄せて来たもの、それは
異形等の深く裂けた口から
吐き出された、その分身体。
幾匹分のそれであるのか、
その数と来たら――。
実に夥しい相当な数だ。






『―コレは全部消し去っても、何の問題もないでやすね…?』




烈将さんが大きく構える。
また、飛翔裂帛を
使おうとしているようだが
肌で感じた明らかな
先程までとの違い。
分身体、その全てを一挙に
消し去るつもりのようだ。
“虚無”になる―。






「待ってよ、烈将さん! コレ…元は異形に取り込まれた人達の魂なんでしょ…っ!?」




『その通りでやすが何か? 此処まで異形の影響を受けた魂、例え元が罪の無い人間のものだったにしろ、今や害意の塊でやす』




「何とか助ける事は出来ないんですか?!」




『この数相手にそんなぬるい覚悟でいらっしゃるようでは、分身体とは言え喰い殺されやすよ…!』




本当に何も出来ないのか。
これ程な数の命だからこそ、
消し去られるその瞬間を
只黙って見過ごすなんて―。
分身体が勢いよく迫る。
烈将さんの霊圧の流れに
頭で考えるよりも先に体が動いていた。
分身体と烈将さんとの間に立ち塞がる。





『―何してんですかっ!? 退いて下さい!!』




「……っ!」





――――――ゴゴォンッ!!!









≫ By クロポン補佐官
12-03 16:30











目前の異形をすり抜けて、
地を歪ませ伸びて来た腕を跳ね退けて、
只ひたすら前へと突き進むのみ。





『随分と慣れて来たご様子で。順応性の方もなかなかのものでやす☆』




「馬鹿にしてんですかっ! こっちだって、必死なんですよ! 冗談抜きで命っ、懸かってんですからね!?」




『向こうで何かやってらしたんで?』




「だぁっ! 話し掛けないで下さいよ…っ! 只でさえ息っ、上がってんですからっ!!」




『―さいで』




烈将さんが前を向く。
進行方向、その先で
闇が渦巻き始めていた。
異形の現れる前兆に、
本来進むべき道を急遽変更する。
さっきからと言うもの、
こんな事続きで一向に
前へと進めていない。





『飛翔、裂帛―』





――…ッ!!!!





《ギィアァアアァッ!!!》






脇道へと飛び込むと
耳を塞ぎたくなるような
命の絶たれる音と断末魔が
背後から覆い被さるよう
響いては、粘つくように
耳の奥、脳裏にへと
焼き付けられる―。





『―どうかしやした? 顔色が悪いようですが……バテやしたか?』




「………」




すぐに追い付いて来た
その相手に目もくれず、
早い所、只この仕事を
済ませる事だけに頭の中を満たす。
今それ以外は何も受け入れたくはない。





(……狭い路地に追い込まれて来てる気がする…)





ふと頭を過ぎった嫌な予感―。




「烈将さんっ! やっぱ引き返そう…この奥、何か凄く嫌な感じがする―」





“直感には従え”、
少ないながらの経験値。





『今更、無理でやす』




「どうして…!?」




後方を指され、振り返って
ギョッとした。細い路地を追って来る
異形の、その大群。






「―え ?! 何、この状況っ!!?」




『全てを殺してないからでやす―。数匹を殺し、残りには手傷を負わせる。奴等め、怒り狂っては更に仲間を呼び、貴方を引き裂こうと躍起になってるんでやすよ』




「な、何で俺!?」







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