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タイムトンネルか……昔何かそういう作品あったよな……。ちょっと旧SFチックになったけど、面白そうではあるね。 未来に向かうってのはロマンがあるけど、まぁちょっと個人的には恐いかな。 過去に戻る方法で僕が前、小説用に考えてたのは、時間反転現象。Characterって小説って時間を巻き戻す能力が必要で、これを考えた。 詳しいところは説明がややこしいから、興味があったらインターネットで検索でもして見てみて。他に考えてあるのがあれば関係無いんだけどw 正式に公開するのはもっと話数が溜まってからだけど、とりあえずプロローグと一話が書けたので「オーバーパラレル」冒頭公開。 プロローグ 灰色の空。 廃棄されたコンピュータのスペックでは、あの鮮やかな空は表現できない。粗いドットで構築されたグレースケールの世界で、私はただ一人、佇んでいた。 この世界が役目を終えて以来、ここには私しかいない。そしてきっと、この先もずっと。 これで良かったのだと思う。 私はまがい物でしかなく、現実の世界に住む彼を、ここに縛り付けるようなことは、あってはならないのだ。 だから…… 「やっと、見つけた」 ――……? 「グラフィックは落ちている癖に広さだけは元のまんまなんだもんな、苦労したぜ」彼は、照れ隠しなのか、はにかむように笑った。 「どうして――」 「長い間待たせちまったな。……やっと、分かったよ」私の疑問を遮って彼は言う。 「これが、俺の答えだ」 001 生きることに力が入らない。 そんな自分の特性に気付いたのはいつだっただろうか。 「なあ、ブックオフ寄ってこうぜー」 「んーああ、いいけど? 30分な。この前みたいな長居は勘弁してくれ」 「あーはいはい」と笑いながら雄太は答え、自動ドアへと駆け込む。 ふぅ……という溜め息と共に俺はゆっくりとその後を追った。 車の通りの激しい大通りの前、客が多い分せわしないので俺は正直この店舗は好きじゃない。品揃えはいいんだが……。 店内に入るとそこは案の定混んでいて、俺はその中枢を避けるように奥のコーナーへと進んだ。店の中ではサザンの希望の轍が流れている。 奥にあるのは、比較的空いているB級マンガ雑誌の単行本コーナー、CDコーナー、エトセトラ。人は2,3人見受けられた程度で疎らだ。やっぱり空いてる。 特に読みたい本があったわけでもなかったので、無難に巻数の多いマンガの一巻を手に取った。 アザーライフという題名。大まかにはSFのようだ。絵は予想より綺麗だった。一人の人間が同じ時代、同じ世界を別の人間として何度も生きる、そういう話らしい。案外面白かったが、字が少し多すぎる気がした。 この手のSFは結構好きだ。読んでみると意外と没頭してしまう。 2巻を読み終え、3巻を手にしようとしたとき、腕時計の指針が目についた。 40分……は経っていた。 別に用事があるわけでもないが、続きは今度でいいか。それに、今日こそ雄太に約束を守ってもらいたい。 その場を離れ、入り口の方に目をやるが案の定というか、雄太の姿はない。彼が駆け込んでいったであろうジャンプ系コーナー(俺は人混みコーナーと呼んでいる)は、人間の壁に阻まれて中が見えない。 正直あの中には入っていきたくない。俺は携帯電話を取り出し、雄太に発信する。多分メールじゃ気付かない。 4,5回コールの音が鳴ったあと、つながった。あからさまに人混み、というように雑音が始終背景に流れている。 「40分経ったぜ、そろそろいいんじゃないか?」 「え、40ぷ……あ、マジだ。悪い悪い、もうちょい待ってくれ、もう少しで今読んでる一冊が読み終わる」 「もうちょっと、ってどれくらいだ?」 「……5分、いや、10分……20分?」……多分結果的には1時間ぐらいになるパターンだ。 「……四倍になったぞ。お前絶対時間守る気無いだろ」 「そんなことは無いけどもー」悪びれずに言う雄太。 「先に店出てるぞ、早めにな」 「ああ、ちょい待――」 通話を切る。 流石にこのやり取りの上で長居しようというほど強引な奴ではない。 ……さて。 外に出てみると、生温い空気から解放されて、秋口の涼しい風に当てられた。車の通りが多いここも、決して空気が良いわけではないだろうが、それでも人混みの中よりかは幾分心地が良い。 生きている、なんて、そんな大層なことは感じられない俺だが。 一体何のために生きて、そして死んでいく人生なのだろう。俺はまだそれを探している段階、ということなのだろうか? 自分をここまで育ててくれた人達に、本当に申し訳ないことだが、俺は自分の生きている意味がまるで分からない。ただ生き、消費していく。死んだ方がいいんじゃなかろうか、そう、特に悲観的にでもなく思うこともある。いずれ俺にも、分かるときがくるのだろうか? 白い。 不意にその単語が浮かんだ。いや、それは不意に、というよりかは触発されてのものであるのは間違いないのだから、正しい言葉ではないかもしれない。 反対側の歩道に、真っ白な少女がいた。黒髪に反して際立つ白い肌はその純白のワンピースと同化してしまいそうで、それは白というよりかは光に近いような印象を受けた。 小学校中学年ぐらいか……? いや、俺は別に変な趣味があるわけではないが。 妙な神々しさ、それもあるが、いや、それよりも俺の目を引いたのは突然、その少女が車道に飛び出したということだ。 この大通り、車は少なくない、むしろ多い方だ。不運なのかどうか、即座に轢かれることは無かったが、彼女のそばにはトラックが迫っていた。運転手は気付いていない。少女も気付いているのかいないのか、そちらに見向きもせず車道を堂々と横切ろうとしている。 「ちっ……!」 気付けば、俺は駆け出していた。 こちら側の車線の車を避けて、二車線を区切る中心線まで行き、そこからぼーっと歩いている少女の腕を掴み、強引にこちら側に引き寄せる。 間一髪、トラックは真横を通り過ぎた。 まるで速度を緩める気配が無かったところ、俺の存在にすら全く気付いてなかったのだろうか。 そんな危機一髪を体験していながら、未だ動じない、不思議そうな顔で少女は俺を見上げていた。 危ないだろ! と言いかけたが、その前に、とりあえずこの二車線の間から抜け出すべきだろう、と思い至った。ここで轢かれたらシャレにならない。 その時、何か違和感を感じた。 というその理由は何となく察せた。 横を通り過ぎる車が一台も止まろうとしない。まるで、俺らのことが見えていないかのように。 この国の人心はそんなに廃れていたか……? 止まってくれても良さそうなものを。仕方ないので車の流れが切れるのを見計らって俺のいた方の歩道に戻ることにした。 よし、今だ。 そう思って、少女の腕を引き、急いで歩道に渡りかけた、その時 「……大丈夫だったのに」と少女は言った。 ――大丈夫? 助けなくても、大丈夫だったのに、か? その言葉のあと、少女はどこか遠くを見るような目つきで、淋しく微笑んだ。それを見て、俺は思わずその場に立ち止まってしまった。 「陽!」名前を呼ばれ、俺は前方に目を向ける。雄太が何か叫んでいる。 そうだ、立ち止まっている場合じゃない。早く渡らないと。 少女の腕を再びしっかり掴み、走りだそうとした。 ……しかし、そこに少女の姿は無かった。 「どういうことだ……」 雄太がまだ何か叫んでいる。 横を見ると、すぐ目前にダンプトラックが迫っていた。運転手はたった今、俺の存在に気付いた、という感じだった。 ――避けられない。 直感的にそう感じた。 何とも呆気ない、終わりだろうか。 世界は、暗転した。
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