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#愛玩の鳥、唄を忘れず 備考。 誕生日は、蒼が四月四日で 碧が三月三日。二歳差の兄妹。 (お母さん、上手に産みました/笑) 両親の命日は、五月二日。 蒼、五歳。碧、三歳。 ─────────────── ─ ─ ─ #愛玩の鳥、唄を忘れず 『────としやんはさぁ。何で音楽、始めたの?』 『そうやねぇ…。リズム感、鍛える為やったかねぇ。最初は』 『リズム感? ──あ〜。もしかして、こう……ポクポクポク、ってやつ。あれの?』 『そうそう』 『へぇ〜…』 ベースを爪弾く吐死夜の元、 背凭れを前にし椅子を引き寄せ そこへ顔を埋めるようにして、蒼は。 吐死夜のベースの音に耳を傾ける。 『──としやんの音。こう、腹に…っていうか、全身に? 重低音がすっげ心地いい………何か、徳がありそうっていうか??』 『あっはは。──徳だなんて、そんな。僕を褒めたって何も出やしまへんよ? 蒼くん』 『ん。でも、としやんの音が好きなのは本当だし……』 『──おおきに。…蒼くん? 褒めて貰ったお礼に一つ、僕から忠告の方ええ?』 『え?』 『君…。人を煽てるのお上手やから、それはまあ。君の長所でもあるんやろうけどね? ──時に。それを“自身”への“好意”と受けとめて。妙な気ぃ起こしはる人がこの世におらんとも限らへんて事、君は弁えなあらへんよ。』 『…?、──俺、他人を煽ててるように見えてる? 吐死夜さん。リップサービスだとか、それで相手をコントロールしようだなんて俺、別に思ってなんかないよ?』 『そんな計算高い子だとは君の事、思ってはおりまへんけど』 『……俺ね。その時、思った事って。ちゃんとその場で口にしなきゃ駄目だと思ってるんだ。良い事も、悪い事も。そりゃ、その場の空気で口にしない方がいい事ってのもあるのは分かるけどさ。言わないでて、後から後悔なんてしたくないじゃん? 言わなくても伝わるとか、いつか言おうなんて考え方はさ。俺、嫌なんだ───』 『………………』 蒼は。背凭れへと縋った 自身の腕へと顔を突っ伏した。 『───言わないで後悔とかさ。…明日、それを相手に必ず伝えられるだなんて、そんな保証は何処にも無いんだし……』 あって当たり前な事だなんて何もない。 幼き日、あって当然と思っていた “未来”を“家族”を自分達は あの日、確かに喪ったのだから……。 ──ポフポフ、……… 『っ、』 顔を上げると吐死夜が困り顔で こちらを見下ろしていた。 『余計な事を言ってしまったみたいやね、僕。───堪忍ね、蒼くん…』 『──え?、あっは…? 何が??』 『………何もやよ、』 『あ、れ…? 何か、気ィ遣わせちゃった──??』 『そんな事なかよ』 蒼達兄妹の生い立ちならば 亡威忌や周りから 人伝えにではあるが、 何となく聞いてはいる───。 よく、非行などにも走らず こうして素直に育ったものだと 逆に思ったくらいだった。 『────蒼、』 『─ん? 何、菊原…』 『一回、こっち来い。コーラス入れるとこ確認』 『んー。分かったぁ───』 開いた楽譜へと視線を落とす 蒼の傍らで、亡威忌が眼光鋭く 吐死夜の方を睨みつける。 吐死夜は肩を竦めてワザと 困ったように彼へと笑ってみせた。 そこへ──… 『いやぁ〜。すっかり、遅くなってしまったたい。申し訳なかとね──』 『ぼぶ!』 声を弾ませた蒼に反して 亡威忌はボブの姿を目にするや 一瞬、小さく撥ね上がった。 『──お前、ビビらせんなっ! 何処のマフィアかと思ったじゃねぇーか!?』 『あはははっ! ぼぶ、何ソレ。カッコイイー!!』 『ああ。西日が眩しかったとね。外すの忘れてきたったとばい。通りで、やたら今日は部屋が暗かと思ったたいよ───』 『ぶははっ、コントじゃん! あ。ねぇねぇ、それ貸して。ぼぶ!』 『蒼くんには、きっと大きかっとよ?』 『わぁ〜、かっけー!! いいなぁ〜!!』 サングラスを外した ボブの優しげな眼差しは まるで生徒らに向けられる ソレのようだった。 『いつまでやってんだ、オメェーはっ?!』 亡威忌は、ギターを肩に掛けると いつまでもはしゃいでいる 蒼の首根っこを引っ張りに行く。 『ほら、始めんぞ───』 〜愛玩の鳥、唄を忘れず〜
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