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#異邦人大系 【第一話】一頁 ――キーンコーンカーンコーン…… 早朝の校舎へ予鈴が鳴り響いた。 とある高等学校のありふれた朝の一コマ。 何の変哲もない、そんな風景である。 『―――安嬉、』 『んぅ? ナ〜ニ、誠ちゃん』 『何、じゃねぇ。予鈴鳴ってる。戻れよ、自分の教室に』 安嬉(あんき)と呼ばれた少年は 『えぇ〜?』と声を洩らし、 不服そうに振り向いた。 癖のある真っ赤な髪――。 安嬉は赤い癖毛を掻きながら 話し込んでいた女子の机を離れて “誠ちゃん”の元へと歩み寄った。 『お前、ウチのクラスに馴染み過ぎ』 何処か呆れた様子で微かに笑う そんな彼、誠二(せいじ)の頭もまた 白に近い銀髪をツンツンに立てており 両耳に連ねたピアスのそれらから どうやら彼らの学校は校則に 割とルーズであろう事が窺える。 『えへへ。俺、このまま居てもバレなくない?』 『何、言ってんだよ。ほら。ベース、忘れんな』 軽く笑って受け流しながら 彼の私物であるベースケースを 誠二は安嬉へ手渡そうと差し出す。 『だって。気になるじゃない?』 『あ? 何がだ?』 『だからー。例の、転校生〜♪』 安嬉はベースを受け取る素振りも見せずに 頭へと両手を組むと誠二にヘラヘラ笑い掛けた。 『―――それが理由で居座ろうとしてんのか、お前…。阿呆だな。クラスも違うってのに……』 誠二は今度こそ呆れて深い溜め息を吐いた。 『…馬鹿馬鹿しい』と小さく呟いて 一向に受け取る様子のない安嬉に ベースを机の上へと力無く置く。 『女の子かなぁ〜♪』 浮かれる安嬉に一つ頭を掻いて 誠二は椅子の背凭れに身体を預けると 安嬉の後ろでクラスメイトと話していた 幼馴染みの夏花(なつか)に話を振った。 『ったくよ。ナツ。お前らが余計な事、吹き込むからだぞ? 男だったらどーすんだ。コイツ、ぶーたれるぞ。絶対。クソ面倒臭ぇ……』 『えー、何それ。私、別に女子だなんて初めから言ってないでしょ? 責任なんか、取れません! せいじくんったら、クレーム付けてくるなんて何か頭きちゃう! 今度、真希ちゃんに言い付けちゃうんだからっ!』 『止めろ。姉貴にチクんじゃねぇ…。俺、殺されんだろがっ………』 『骨くらいなら拾ってあげるわよ〜』 『…………、すみませんでした。夏花さん――』 誠二は、綺麗に土下座した…。 つづく
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