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「沢田綱吉。駆け落ちしましょうか。」 そいつはその綺麗な顔立ちを緩ませて、そう言った。そいつは窓の傍に立っていて、オレはその脇の机(の椅子)に座っていたので、そいつの顔は逆光でよく見えなかった。天気の良い昼下がり。クリーム色のカーテンがひらり、ひらり、春風に揺られる。もっと風が強ければいいのに、と、オレは少し恨めしい気持ちになった。もっと風が強ければ。そうすればそいつの今の言葉も、風の音に掻き消されて、なかったことになるのに。(でも今オレは聞こえてしまった。)オレは呆気にとられたような顔でそいつを見上げながら、少しだけ、眉を下げた。 「ごめん。」 ――――そいつは表情ひとつ変えず、いいえ、と笑った。
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