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「……なんやの、これは」 艶やかな着物姿で揚屋へと現れた女は店内を見回し唖然とした。 開店時間にはまだまだ早いとは言え、普段ならば忙しなく動き回る禿の少女達がこぞって肩を落としたり時折お腹を擦ったりしているのだ。 見るからに異様である。 「…アンタは元気やねぇ?」 そんな中、ごく数名の少女は普段と変わりなくパタパタと開店準備を進めていた。少女は此方を見遣ると挨拶と共に昨日あった出来事を話した。 ――昨夕、寸胴を抱えた一人の少女が来店。天神の中にはその少女と顔見知りの者もいたため店の厨房へと案内し、夜食にと寸胴の中のポタージュスープやら手作りのナンやらを差し入れとして受け取った。店主は不在だったが有難くそれを頂戴し、閉店後に店の皆でスープだけでもと口にしたのだ―― 「……あぁ……」 女は軽い眩暈を覚えた。何を隠そう、昼間に茶屋で会った少女その人だったからだ。 幸いにも自分はお得意様の付き添いで外出していたためスープを口にすることはなかったが、この分だと自分の用心棒達も同じ状況なのだろう。 とりあえず馴染みの薬屋に胃薬を注文するよう禿へと言いつけお金を渡す。 ――おかしいな、美味しかったのに。 「………」 お金の入った財布を握りしめた少女は言いつけ通り店を後にするが、最後に放った一言は思わず少女を振り返らずにはいられない内容だった。 「…今日は休業やろかねぇ…」 ――*――*――*―― 黒の国・蒼月地区にてヒミカ様とエンカ
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