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――爆鎖の副隊長は知った。虚白の地で起きた事件の顛末、そもそも果たしてそれは白夢の確保を裏の目的としていたのか等といった経緯等は副隊長の地位ですら閲覧禁止、情報開示されていないという事を。閲覧制限がかかっていないのは、それこそ隊長格以上。四帝や黒の暴君といった地位に位置する人物であるという事を。 それは、明らかに何か別の目的があり、更に言えば黒の国は以前から虚白の地に関する表沙汰になっていない重要な情報を秘している可能性が高いという事にも思い至るかもしれない。 また、開示されている情報からは十二人の部下達は何れも優秀な親衛隊員であったが、共通点として血縁者が存在しない天涯孤独の身の上であるという事も読み取れた。 邪推するならば、調査という名目以上の危険性、死の可能性も考慮したうえで仮に最悪の結果を迎えても深く個人を詮索する事がないようにした人選であったとも考えられる。 元々トーデスシュトラーフェに属していたランドルフ・ヴァルトフォーゲルにはグランにおいては他の地区よりも独自のパイプ、人脈が存在している。 先代隊長セルゲイ・バーンスタインがディオドーラに明確な敵意を見せていた事。 また、訓練室にて日頃より素養を伸ばす特訓の手を貸していたクオル・グラファータでも知り得ない怪現象を発生させかけていたディオドーラについて不審がり、今迄深く調べる必要性がなかったがここにきて保護されていた当時の状況やどのような経緯で流れ着いたか調べる事も無理はない。 そしてランドルフが調べ上げた結果、ディオドーラは保護されていた時には既に記憶が無く、尚且つ意識の混濁も見受けられ今以上に不安定であったこと。 また、何処から流れ着いたかについてだが、誰もがいつの間にか保護されていたということ。 無力な民、戸籍すらない孤児はこの黒の国においてありふれていて、そんな者でも保護するなんて事は珍しくもないグランの区民性ではあるが、ランドルフから尋ねられる迄誰も一切疑問に抱く事はなかったらしい。ただ、誰が何処で、という事が一切不明なのは奇妙であった。 また、四帝のバルバスの下へと赴き尋ねたならば、このような答えが返ったであろう。 「私は何が起きたのか、確かに貴方の言う通り知っている。けれども、貴方が求める多くは答えられません。ですが、幾つか答えられる事もあります。貴方の推測は、おおよそ正しい。そして、秘匿というものは秘する理由があるという事です。ランドルフ。もし本当に知る気でいるのであれば、貴方には、貴方達には一層の重荷を背負う事となるでしょう。だから、もし本気で知りたいというのであれば、私に、我々に見せてください。貴方達にこの世界の真実に立ち向かうだけの知恵と力があるという事を。最低限、彼、この世界の虚構に敗北を喫したセルゲイ・バーンスタインを退けられる程度の力はあると証明してみせていただきたい。ランドルフ。次に会う時には、もう少し話せる事も増えていると願いたいものです。」 黒の暴君、煉獄の竜帝は玉座に戻ったが、ランドルフが詰め寄ろうにも近づけなかったのはひとえにこの王もまた同じ意見だからである。 『力無き者に教えることなどない。』 即ち、知りたい真相。対価に見合うだけの力を示せと。
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