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飛んでいったマグカップ 粉々に砕けて散らばって いつぞやの、記念日のアレ。 住宅街に立ち込めた夕餉のカレーの香り。 重いドアノブを押し手の、真っ赤な跡だけ妙に冷たい。 泣きそうになった真っ暗な部屋は晩秋不遇の色を帯びていた。 最近やけに喧嘩が増えた。 うやむや濁してその場を凌ぐ。 貴方の余計な一言が、あたしの中身を大きく刳った。 あたしの皮肉は想定よりもずっと鋭く貴方を切り付ける。 笑った分だけ泣ける様になった。 好きだった分だけ嫌いになった。 なのに黙って抱き締める、卑怯な貴方を狡いと思う。 飛んでいったマグカップ、粉々に砕けて散らばって、部屋の片隅でひそやかに忘れないでと呟いた。 心臓の音と呼吸のリズム。 いつか壊れる愛情ならば、全てをあたしの所為にして、今崩したって善いかもしれない。 貴方の胸であたしは泣いた。
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