[
携帯モード]
[
URL送信]
メッセージの編集
お名前
タイトル
メールアドレス
※変更する場合のみ入力して下さい
ホームページ
本文
『蜩』 頭上には晴れ間がのぞき、青い空が世界を見下ろしている。 フェンス越しに見える景色は見慣れた住宅街、 グランドでは汗と土にまみれた野球部員が青春に励む。 そう、ここは屋上だ。 義務的な朗読をする教師と単純作業のノート作りにうんざりした俺は、いつもきまって屋上へと退散する。 するといつのまにか放課後になり、現在にいたるとゆうわけだ。 「なにやってんだ・・・俺」 不意に口から漏れた一言、 勉学にも青春にも励むことなく、ただひたすら毎日を消化するだけ。 なら、いっそのこと此処から・・・ ――ガチャッ―― その思考を遮るかのように、誰かが訪れてきた。 「・・・・」 その人物は無言で、なぜか俺が座っているベンチに腰掛ける。 ・・・もちろん俺は、この人物を知らない。 「蝉ってさ、美しいとは思わない?」 いきなり何を言い出すんだコイツは? 「だってそうでしょ? 短い命を歌にささげ、もがきくるしむ・・・」 「いや、もがきくるしむって・・・」 「さなぎから孵って土から顔をだし、この青い空に飛び立つ」 俺の言葉を無視して話を続ける。 「私はこの季節になるといつもこう思うの」 その人物は、こちらに顔を向け、 「だから空は青いんだってね」 太陽のように眩しい笑顔でこう言った。
設定パスワード
編集する
削除する
無料HPエムペ!