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茶渋ような奴だとはよく言われたものだった。だけど、生まれながらの乾物者なのだから仕方ない。全くもって周りの言う通りで、この性格は茶渋のようにこびりついて取れやしなかった。 しかし、またしてもその言葉を言われるとは。やはり私は根っからの乾物者のようで。 卯の上刻。なかなか起きないぬしさまを、やっとの思いで起こすともうそんな刻になってしまった。慌ただしく朝餉を用意した。おかずは煮物に味噌汁焼き魚にそれから和え物。空いた腹に食欲を刺激する香りに、(我ながら、なかなか…)と内心、自画自賛をする。 「お前さん、お前さん。この蓮根の煮物、とても美味だが落としてしまったよ」 ああ、着流しが汚れてしまった。と言って、目の前で帯を外していくぬしさまにため息をついた。ため息も付きたくなる。朝からお召し物を汚されるなんて、洗うのは一体誰だと思っているのやら。 「嫌ですよもう、ぬしさまは。布へ落ちた醤油の染みはなかなか頑固で落ちないのですよ」 「はは、そりゃお前さんそっくりじゃな……そんな顔は止めておくれよ」 ピシャッと箸を置き、ぬしさまを見つめて『何ですか』と言わんばかりの視線を送れば、直ぐ様折れたぬしさまに、内心(ふふん)と私は満足に笑う。私は一年の間に、ぬしさまを尻に敷くことに成功していた。 私はそれで満足だが、いくらぬしさまといえど、一応は男。自分が情けないのかため息をつかれた。 「…お前さんにゃあ敵わないよ。いくら何を言っても聞きやしないんだもの」 「あらどういう意味ですか?」 苦笑いのぬしさまに、三杯目の飯茶碗を渡しながら問えば、困ったような笑みがニタリとした笑みに変わった。 「頑固者、と言ったのさ」 まあ。どの口が言うのでしょうね。そんな私との暮らしも、満更ではないくせに。 ねぇだってぬしさま、その蓮根の煮物で一体何杯ご飯を召し上がるおつもりなんでしょうね。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 皆さんの小説が素晴らしくて私も便乗してしまいました。 タイトルは、蓮根穴がヒロイン。はまって抜けられないぬしさまのこと(のつもりです)
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