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手探りでつけた部屋の明かり。今日もつけた事を後悔する。 リビングに横たわる、酔い潰れ、寝入った父。毎日の見るその光景に、嫌気はとっくにさしていて……。それでも俺は、父から逃げられなかった。 俺を縛(いまし)めているのはとてつもなく単純な、頭に響く父の声。 もう、何年前に言われたのかすらわからないくらい昔に、一度だけ、たった一度だけ、父は俺に「必要だ」と、言ってくれた。そのたった一言が、感情などさしてこもらぬその声が、俺を放してはくれなかった。 疲れた俺は、誰に頼るでもなく、海へ行く。 亡き母の好きだったこの海に。 母は水平線から覗く、朝焼けが好きだとよく言った。 俺も、それが好きだから、父(げんじつ)から逃げると、必ずここに辿り着く……ここ以外行く場所がないのもあるけれど。 何時間経っただろうか……?朝の冷たい風が吹いた。俺はそれで目を覚ます。 上体を起こせば、ズルッと何かが俺から落ちた。つまみ上げると、見覚えのあるジャケット。 まだ冴えない目を凝らして、日の昇る、水平線の方を見る。 そこには一つ、毎日見てきた大きな背中。 見慣れたはずなのに、何故か見慣れない気がしたのは、背筋がピンと伸びていたからだろうか……? 俺は立ち上がると、ゆったりとした足取りで、父の隣まで歩いた。 「就職先、決まった」 俺を縛めるあの声で、父は俺の足並みに揃えるかのように、ゆっくりささやいた。 −−−−−−−−− 初めまして。 批評や感想を、是非戴きたいです。よろしくおねがいします。
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