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番外編-第6章:パース研究所、大掃除戦線! U 『PST型68式量子ホロニクスAI搭載型汎用自立掃除機』に捕らわれていたスファリエルを救出し、再び掃除を再開する事になった。 ルーインはパースに言われ、研究所の外にある倉庫の掃除に来ていた。 「いやしかし、倉庫ってのはこんなに散らかり放題だったか…?」 埃を吸わない為のマスクが邪魔なのか、しきりにそれを触りながらぼやく。 ハタキ一本だけじゃあ掃除しきれないな。 ルーインはまず物品の整理から始めることにしたが、腰を屈めた際に倉庫の奥に何かを見つけた。 「ん? 何だありゃ?」 持ち上げかけていた段ボールを下ろし、ゆっくりとそれに近づいていく。 倉庫の中は薄暗いが、普段から暗い炭鉱で鉱石を掘っているルーインにこんなものは見えているのも同然である。 それが仇となった。 「……これって、まさか」 全身に埃を被っており、メイド服を着た少女が壁にもたれかかる様にして座っていたのを、ルーインは直視してしまった。 刹那、野太い悲鳴が響いた。 研究所には住人の生活に合わせた部屋や設備が用意されており、『エンガワ』もその一つであった。 言われた通りにエンガワの掃除をしていたアヒャントは、倉庫の方から響くルーインの悲鳴にすぐ気が付いた。 「! ルーイン…?」 手に持っていた雑巾を放り投げ、アヒャントは倉庫へ走った。 「おいどうしたルーイン、何かあったのか!!」 怯える様子のルーインに尋常ではない空気を感じたアヒャントは、両肩を掴んで尋問する。 一方のルーインは、焦点の合わない目―元よりどこを見ているか分からないが―でアヒャントを見てから 「倉庫! 女の子!! 死体!! メイドの女の子!! 倉庫で!!」 混乱しつつも、何とか自分の見た光景を伝えようとした。 だが、あまりにも混乱し過ぎて、伝えたい内容がとぎれとぎれになってしまい、 「倉庫で女の子と『したい』だなんて、俺はそんな事を教えた覚えはないぞルーイン!!」 ルーインの頭頂部に鋭く平手が叩きつけられた。 「痛ッ!? 違うっつってんだろ!! つか平手でタンコブ作るんじゃねぇ!!」 「じゃあ何だ! メイドの女の子と何だって言うんだ!!」 「倉庫でぶっ倒れてんだよ!!」 「お前は一体何をしたんだあああ!!」 アヒャントに内容を説明するのに要した時間は1時間を越えた。 「何だ、そういう事だったのか…。 とにかくその子の様子を見てみないと分からないな」 とは言われたものの、死体(と決まったわけではないが)を見ればまた騒がれるのだろう。 ルーインは「俺一人で平気だから」と釘を刺し、先程の倉庫へ戻る事にした。 「しっかしなぁ、よく考えてみりゃあ死体ならとっくに腐敗が始まっててもおかしくねぇよな…」 倉庫に戻ったルーインは恐る恐るメイドの少女―やけに軽かったのは体躯が小さかったからだろうか―を運び出し、埃を落とした。 そして、少女の首筋に「あるもの」を見つけると 「ははっ、何だそういう事だったのか。 しかしあんの野郎、また余計なモンを……」 安堵から一転、すぐに怒りの矛を構えていた。 腰に下げていた携帯トランシーバーを乱暴に掴み上げると、3つのボタンの真ん中を押した。 「こちらルーイン」 『あれ、どうしたの?』 何か面倒なことでもあった? 先程の悲鳴が聞こえていなかったのだろうか、パースは何事も無かったかのような聞き方をした。 刹那、ルーインは怒号を浴びせた。 「倉庫にメイドロボットを放置してんじゃねえぞ!! ビビったじゃねぇか!!」 『メイドロボ? もしかしてロボ子さんのこと?』 そんな怒号などお構いなしに続けるパースに、ルーインは若干呆れた。 さっさと事の顛末を説明すると、トランシーバーの電源を切った。 しばらくの静寂の後、ルーインはメイドロボット―ロボ子さんの首筋に触れた。 そこには、「ON/OFF」と書かれたスイッチがあった。 ゆっくりと「ON」にしてみるが、全く反応が無い。 結局ポンコツはポンコツか、こんだけ古臭い所に置いてあったら故障もするわな。 そう思ったルーインは、再び掃除を再開しようと一歩踏み出し― ―ズダァン!! 「痛ってぇ…、何だってんだよ畜生!!」 何かが足に引っ掛かり、顔面から転倒してしまった。 ヒリヒリする頬をさすりながら目線を下げてみると、1本の黒いコードが見えた。 「……電源コード? まさか!?」 コードを掴んで手繰り寄せていくと、終着点には 「………やっぱりアンタか」 目を閉じたまま動かない―もとい、電源が入らないので動けない―ロボ子さんが座っていた。
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