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番外編-第5章:パース研究所、大掃除戦線! ここは水無月家にほど近い場所にある「パース研究所」。 ロボット工学の権威であり、また、自らの身体もロボットという科学者が住んでいる。 その研究所の居間では、1人の男がテレビに釘付けになっている。 この時間帯のカオスワールドでは、テレビアニメ『混沌戦士カオスファイターR』が再放送されているらしく、男はそれに目を奪われていたようだ。 『出たな、お前が最後の敵か!! なんてクレイジーな野郎だ…!!』 『クックック、その通りだカオスファイター! 貴様を倒し、この世界を破壊し尽くしてくれるわ!!』 カオスファイターと悪のボスらしき男の問答に、テレビを見ていた男―ルーインは思わず言葉を漏らした。 「こ…こいつが悪の大ボス…!! 遂に最後の戦いが始まるのか…」 「この戦いの行方は一体どうなっちまうんだ…!!」 ブラウン管の前で世紀の決戦を夢想していたルーインだが、 「こらルーイン! カオスファイターはいいから大掃除手伝えー!!」 声の主―パースによって強制的に現実へ引き戻された。 「ちぇっ、いいところだったのによ…」 思わず口に出した途端、パースは黙ってルーインにハタキを手渡した。 「…何だこれ」 「ルーインはほこりでもはたいてよ。 あ、その辺は精密機械が多いから壊さないでね」 元来面倒な事をするのが嫌い―何より自分に利益が無い事は特に―なルーインは、すかさず不平不満をぶつける。 「こういう肉体労働を俺に押しつければいいと思ってるのか? もっと頭使えよな、適材適所があるってもんだろ」 パースはそれを聞いてしばらく考え込むと、 「適材適所か、なるほど分かったよ!」 どこから用意したのか、巨大な粘着テープ―転がして埃を取るタイプのもの―を用意した。 そして―。 「それっ!」 「のわぁ!?」 ―ズドン! という鈍い音と共に、ルーインの姿が見えなくなった。 「気分はどう? ルーイン」 「よかねーわボケが!!」 粘着テープには中央に穴が空いており、丁度大人一人が入れるほどのスペースがあった。 パースが粘着テープを横倒しにすると、 「うわあああああああ!!」 「やあ」 短い悲鳴と共にルーインがテープ中央の穴から顔を出した。 「おいパース! 俺をどうするつもりだゴラァ!!」 思わず吠えてみるが、頭だけ出した状態では怖くもなんともない。 それを見てパースは彼にこう告げた。 「粘着テープの中に入ってゴロゴロ転がれば、動くのも楽だし掃除も出来て一石二鳥だよね?」 何とかパースを説得し、粘着テープから救出されたルーインだが、掃除はまだ始まったばかりである。 一体どうするんだ、とルーインがパースの方を振りむいた。 「こうするのさ!」 「…だから何だよその物々しいマシンは」 ルーインの目に映ったそれは、ドーム型の頭部とドラム状の胴体から出来たミニロボットであった。 「こんなんで本当に掃除が出来んのかよ?」 「大丈夫だって、こいつは『PST型68式量子ホロニクスAI搭載型汎用自立掃除機』なんだよ?」 「…は?」 空気が漏れるような声が響いた。 何を言っているんだコイツは。 ルーインが頭を抱えると、呆れたようにパースが説明を始めた。 「簡単に言えば、『いらないモノを自分で判別して捨ててくれる掃除機』かな?」 「へぇ、そいつはすげぇな」 「じゃあ早速起動させてみよう」 パースがロボットを起動させると、 「いらないモノを見つけてくるぜェ―――――――――!!」 「喋った!?」 ほぼ音速で廊下へ飛び出していった。 「本当にアレで大丈夫なのか?」 「僕の機械を信用してないね?」 「お前の機械だから信用できねぇんだよ…」 ルーインが言い終わったと同時に、掃除機ロボットの甲高い声が聞こえて来た。 「いらないモノを発見したぜェ―――――――――――!!」 「ほらね?」 「へぇ、なかなかやるじゃねぇか」 ロボットが廊下を爆走する音と共に、聞き覚えのある声が二人の耳に届いた。 「ん? 人の声?」 「…空耳じゃねぇか?」 件のロボットはパース達の研究室前を通っている廊下にさしかかろうとしていた。 空耳だ、と言った声も段々近づいてくる。 その声の主はついに姿を現し、 「のわあああああああああああああああああ!! 助けてくれだからなあああああああああああああああああ!!」 天使『イン・スファリエル』は、そこに居た。
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