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* * * (──マズった…) 優人は一人、焦りに冷や汗を垂らしていた。 自由奔放過ぎるフリージアの暴走を抑え込みつつ、尚且つフリージアの裸がこれ以上視野に入り込まないようにと。優人なりの苦肉の策、行動の筈であったのだが……。 (これは…、完全にマズった……。こんなの、“裸で”していい体勢な訳ない───…) 自身の胸へと縋るフリージア。互いに裸体同士のこの状況にて、彼女を自身の膝上に乗せるなどというこの行為は、極めて非常に際どい体位である事に優人は今更ながら自覚してしまったのだ。…全てが既に、手遅れではあったが。 (…ぜ、絶対に。この状況下での“誤作動”は許されない────) 意識をすればする程、頭の中は掻き乱される。優人は必死に本題……この空間から脱出する方法へと思考回路を無理矢理に軌道修正した。 (これは、夢…。夢なら覚めればいい訳で……。或いは、最優先事項として“服”を何とかこの場へ引き摺り出す事ができれば───……) 「ねぇ、優人。大丈夫? 心臓、ばっくんばっくん言ってるけど」 (──全ッ然、大丈夫じゃねぇーですよ……!!) フリージアの吐息が鎖骨近辺へと掛かり、優人の血圧は忽ち急上昇する。鼻血くらい簡単にいつ出てもおかしくない状況下にて優人はフリージアから精一杯、顔を逸らして目を閉じた。 (俺っ…今、絶対、すっげぇ糞ダサイ……!!) 左手にてフリージアの肩を掴み、優人は一ミリでも彼女との距離を取らんとする。相手にこんな惨めな顔など見られたくはないと、その一心にて熱帯びた自身の眼前へと右手の甲を添えた。 (もう、やだっっ…!! 誰か助けて……俺、このままじゃ死ぬ!!!!) 《──おやおや。今にも死んでしまいそうですね、彼…》 「くっくっ…、オイ。ミラ〜、お前、なかなか意地汚ぇ真似すんじゃねぇーかよ? なあ?」 ゲラゲラと二人分の下卑た嘲笑いが空間に響き渡る。 「…やっべ。涙出たわ、俺」 鏡の中へと映り込む二人…、主(おも)として優人のその反応の一部始終にイノセントは愉快そうにくつくつと肩を揺らす。 《主、そんなに笑っては彼が可哀想ですよ》 「よく言うぜ。そんな状況を創り出してる張本人が──」 更なる展開を期待して「で?」とイノセントはその先を促す。イチカメ、ニカメ…とばかりにミラの映し出す映像に死角は無い。 「優人…、ねぇ。触って──?」 「……!!?」 フリージアの手が、優人の右手へと触れる。 「優人、女の人と……その、…経験、まだ無いでしょ? 私で良かったら練習台になってあげる」 「……………!!」 徐ろに誘導したその手をフリージアは自身の胸の上へと、そっと置いた。 「どんな感じ?」 「…えっ、あの……それは…………や、柔らかいですけどっ……??!」 視線を真っ直ぐに合わせられないまでも、彼女の鼓動がトクンッ、トクンッと触れたその場所から響いてくる。 「……だ、ダメだ、フリージア…。こんなの…………夢の中だって許される訳ないよ」 「夢。そう、夢だよ優人。これは、夢──。怖くないよ? もっとほら、ちゃんと触れて? こっち見てよ、優人…」 「っ、」 《──あーあ、宜しいので?》 「何がだ?」 《終わりにします?》 「これからだろ…? 笑ってんじゃねぇよ、お前も」 《妬かれないのかな、と。……ねぇ??》 「──くくっ、こんな“淫夢”紛い……妬くかよ。それに」 《それに…?》 「こんなもん。何処までいこうと相手は自分自身だろうが。“自慰”の範疇だろ、所詮。…寧ろ、よく勃つよな、自分相手に───?」 一拍を置いてミラの嗤い声が虚像の間に響いた。 《違いありませんね、ホント──…》
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