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『memory×18』 『きゃああああっ!?』 『チカ!!』 整備班の詰め所は大変なことになっていた。 チカが大きな虫に捕まって 今にも食べられそうになっていたものだから。 それを助けようと必死なファルターが 何だかいつも以上にクレイジーに見えた。 その姿はまさにライオン。 ああ、これぞ弱肉強食の縮図。自然の摂理だ。 例え食べられてしまっても 仕方ないことなんだけど。 でも、こんなのは嫌だなあ。 だってチカはたまに頭を わしゃわしゃしてくれるし 背中もわしゃわしゃしてくれるし おいしい葉っぱをくれるから 嫌いじゃないんだ。 『チカに触んじゃねぇ!! 虫ケラが!!』 ファルターは、やっぱりぶち切れていて 巨大なチェーンソーを振り回してた。 ラグとは違う意味で、これは危ない。 と言うかあれはチェーンソーじゃない。 魔改造した電動式の刃物と言った方が 正確かもしれない。 ソレは大きな音を立てながら 何匹も虫を一刀両断してる。 ファルターはオカマだけど 多分。艦内では一番、有能で男らしいと思う。 整備班だけあってなのか 体質なのか相応に腕力もある。 オカマなのに間違いなく雄だ。変なの。 『そーだ、そーだ!チカちゃんにベタベタ触っていいのは、多分艦内じゃあファルターぐらいだぜー?毎日毎日イチャコライチャコラしくされてよぉ!?なあ!船医!』 『破廉恥です・・・』 『アンタ達!?無事だったのね!!』 『ったりめぇだ。俺を誰だと思ってる?』 『小チンピラ』 『船医、眼鏡わるぞ』 『にゃーん』 『加勢すんぜ、ファルター!これはシャレにならねえ展開だ』 僕は船医に賛同する。 もしも燿一に猫語が判るなら きっと僕も小突かれただろう。 燿一は、あちらこちらから銃を取り出しては ピンポイントで虫の頭を撃ち抜いてく。 この格好の何処に そんな武器を仕込んでいるのか 僕には凡そも検討がつかない。 だって。明らかに 容量オーバーだと思うんだ。 『害虫駆除、俺向いてるかも』 『そうみたいね』 燿一が、チカを掴んで離さない 大きな百足の目玉を一つ撃ち抜いた。 頭を潰せば早いだろうけど 百足はあまりに大きくて頑丈で 燿一の銃じゃあ一撃必殺できないと思う。 だからとりあえず急所を狙う。 その隙にファルターが飛びかかって あのチェーンソーもどきで 百足の足を一刀両断にした。 すぐさま船医がチカを抱きかかえて 虫から距離を取った。 僕は棚から船医の頭に飛び乗って 体勢を立て直すと肩にしがみついた。 『オラオラオラー!!虫ケラはみんな死ねぇえええっ!!』 チカを救出して重荷の無くなったファルターは 一気にハイになって 手当たり次第に虫を倒して行った。 詰め所にひしめき合っていた虫達は どんどん数を減らしてく。 高笑いしながらチェーンソーもどきを振るう ファルターからは、いつもの気さくな空気が 少しも感じられなかった。 ソレはまるで阿修羅の如く。 『どっちが悪役だかわかんねぇな』と 燿一がうんざりしながら 最後の一匹を撃ち抜いて 詰め所の害虫駆除は終わった。
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