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こねたおきば 続きがある話はレスで書いています。 短文ですがどうぞ^^
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≫ 現パロ・亀鶴
By あさり
2010-11-03 16:37:21
ふと流れる髪の匂いを、思わず目で追ってしまうのは。
あなたが側にいないから。

がたんごとん、電車が揺れる。あわせて体が揺れる。
窓に四角く切り取られた空が、ゆったりと流れていく。
無意識に携帯を開いて、ぱたんと閉じた。メールも電話も無い。
「……オレがいなくったって、困ることなんてないもんな」
呟いた自分の言葉で無性に腹が立って、窓の桟に肘をついた。
目を閉じる。浮かんだのは憎たらしい笑みを浮かべた恋人で、今もきっとパソコンに向かっているのだろう。
拗ねた自分のささやかな悪戯も、気付いてもらえなければ意味はない。

せっかく久しぶりに会えたんだ、少しくらい構ってくれたっていいじゃないか。……なんて、言えるはずもなく。
元々、会う約束などしていなかった。胡鶴が勝手に漆亀を訪ねたのだ。
部屋に迎え入れてはくれたものの、彼はレポートの提出に追われていた。まぁ一緒にいられるだけでもいいか、と彼の後ろで寝台に横になっていたのだが、だからといって三時間も無言で放置するのはどうかと思う。
忙しい日に邪魔しに来た自分が悪い。頭では分かっているのに、心は追いつかない。声が聞きたい。触れたい。すぐそこに彼がいるのに何もできないことが彼への逆恨みに変わり、用を足すと偽ってとうとう出てきてしまった。
洗面台の鏡にでかでかと、メッセージを残して。

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