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即興小説掲示板 即興小説で切磋琢磨するための掲示板です。書き込みパスは1234です。
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≫ 謝罪
By ひきり
2007-08-22 03:43:03
すみません下で2重投稿やらかしました、申し訳ありません…!
W42S
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≫ 青の白昼夢
By ひきり
お題みっつ:空、傘、バス停で書かせていただいております。 次のお題みっつ:ラジオ、紙幣、朝、でお願いいたします。
2007-08-22 03:37:30
はじめましてです、通りすがってヤッバい好みな御題でしたので僭越ながら書かせていただきます。




時刻表と停留所の名がつっ立っただけのようなバス停で、僕はバスを待つ。

綺麗に晴れた青空が凄まじい雨を降らせている、俗に云う狐の嫁入りだろう。傘をさしていても僕の足下は水浸しで、空の鮮やかな青色をうつしていた。

バスが来るまであと10分弱。持て余す程では無いが十分に暇な時間だ。僕は気を紛らわす為に雨の雫を目で追いかけてみた。

空から落ちた雨の雫は僕の傘を伝い、足下の水に反射する空へとまた落ちる。落ちた雫は波紋を広げ空を波立たせる。おびただしい数の波が広がり、重なっては消える。雲は揺らぎ千切れ、時折、ところどころが元の形を取り戻していた。雫の落ちる音が耳から侵入し、平行感覚を蝕んでいく気がした。頭がくらくらする。世界が反転しそうだ、空が揺らぐ。真っ青な視界。酷い浮遊感。雫が空へ吸い上げられて、僕は空から落ちていく、まっさかさまに。一体何処へ。僕は何処にむかって落ちているのだろう、そう思い顔をあげるとそこにはバスの開いたドアがあった。


止まない雨の音に紛れて微かに聞こえるバスのエンジン音が意識を呼び戻す。僕はびしょ濡れの傘をたたみ、口を開けた現実に乗りこんだ。
W42S
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≫ 青の白昼夢
By ひきり
お題みっつ:空、傘、バス停で書かせていただいております。 次のお題みっつ:ラジオ、紙幣、朝、でお願いいたします。
2007-08-22 03:32:36
はじめましてです、通りすがってヤッバい好みな御題でしたので僭越ながら書かせていただきます。




時刻表と停留所の名がつっ立っただけのようなバス停で、僕はバスを待つ。

綺麗に晴れた青空が凄まじい雨を降らせている、俗に云う狐の嫁入りだろう。傘をさしていても僕の足下は水浸しで、空の鮮やかな青色をうつしていた。

バスが来るまであと10分弱。持て余す程では無いが十分に暇な時間だ。僕は気を紛らわす為に雨の雫を目で追いかけてみた。

空から落ちた雨の雫は僕の傘を伝い、足下の水に反射する空へとまた落ちる。落ちた雫は波紋を広げ空を波立たせる。おびただしい数の波が広がり、重なっては消える。雲は揺らぎ千切れ、時折、ところどころが元の形を取り戻していた。雫の落ちる音が耳から侵入し、平行感覚を蝕んでいく気がした。頭がくらくらする。世界が反転しそうだ、空が揺らぐ。真っ青な視界。酷い浮遊感。雫が空へ吸い上げられて、僕は空から落ちていく、まっさかさまに。一体何処へ。僕は何処にむかって落ちているのだろう、そう思い顔をあげるとそこにはバスの開いたドアがあった。


止まない雨の音に紛れて微かに聞こえるバスのエンジン音が意識を呼び戻す。僕
W42S
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≫ 謎の男
By 杉本嶺
お題みっつ:眼鏡、ジーパン、柄シャツで書かせていただきました。 次のお題みっつ:空、傘、バス停でお願いいたします。
2007-05-03 18:49:27
 俺の目の前にいる謎の男。
 今、俺の目の前に謎の男が立っている。

 適度に擦り切れ、穴のあいたジーパン。所謂ダメージジーンズをはいている。
 上半身には派手な和柄の柄シャツを羽織っている。いったいどこで買ったのかというほどの、センスのない柄シャツだ。
 そして、どんな派手な顔をしているのかと思いきや、いたって普通の青年である。
 短髪の黒髪を無造作に立て、黒縁の眼鏡をかけている。

 一言で言うならば、アンバランスな男だ。

 誰だ、この男は。
 見覚えはある。しかし、何かがオカシイ。

「はあ……」

 俺がため息をはくと、男も同じようにため息をはく。
 俺が顔をしかめれば、男も真似るように顔をしかめた。

「わかった。よーくわかった」

 俺は男に向かって言う。

「人には向き不向きがあるんだ。俺には向いてない、そう言いたいんだろ?
よーくわかった」

 俺も男も納得したように頷く。

「やめた。やめた。
こんなんじゃ、逆に愛想つかれちまう」

 俺は着ていたシャツを脱ぐ。それは紛れもなく、目の前の男が着ていたダサい柄シャツ。
 そのシャツを放り投げ、いつものTシャツに着替える。髪型もいつものように戻した。

「こっちのほうが、しっくりくるな」

 目の前の男は見覚えのある男に変わった。

「やばっ! 待ち合わせに遅れる!」

 急いで俺は部屋を出る。

 部屋に残されたのは、等身大の大きな鏡。それから、ベットに放り投げられた柄シャツ。

 謎の男はもういない。


 初デート前の1時間。俺のオシャレへの抵抗は、見事に無駄に終わったのである。
 謎の男……つまり、鏡に映った俺の分身が教えてくれたのは、無理をしないこと。
 そして、ありのままの俺の姿。
W43CA
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≫ はじめまして^^
By 眼鏡孝介
お題みっつ:スカート、カステラ、図書館で頂きました 次のお題みっつ:眼鏡、ジーパン、柄シャツでお願いいたします。
2007-04-28 11:21:36

図書館の館員になって、もう何年がたつのだろう。

本が好きで、本が好きな人も好きで、

必死で司書試験を受けて、図書館で働く事が出来たけど。

----現実は、僕の理想とは程遠く、

ただ、時間に迫られて、追い越されないように、日々を過ごす。

"こんな事をしていて、楽しいのか"

自分に問い掛けた疑問も、
いつか時に溶けて消えてしまった。

本を読む時間すら無くなって、
自分の楽しみがわからなくなっていた。


…昔、ある雨の日、
館内には人が少なくて、

その少女はやけに目立った。
雨に濡れた髪と、黒い制服。

さらに気になったのは、彼女が泣いていた事。

図書館の読書机に腰掛けながら、髪を拭くタオルで顔を隠すように、肩を震わせていた。
なんともやり切れない気持ちになって、そっと声をかける。

「……あの…」

振り返った彼女は、白い肌と、黒い髪が印象深い、美しい少女だった。

顔はやっぱり泣き顔で。
何があったのかは知らないけど、何故か胸が痛んだ。
「どうか、したんですか…?」
お節介な問い掛けだと思ったが、聞かずにはいられなくて。

しかし、彼女は俯いた。

気が付けば、館内は薄暗く、
もう閉館間際で。

誰もいないなら、と、
僕は彼女に紅茶と、

この間常連のおばあさんに頂いた、カステラを彼女に出した。

彼女はまたぽたぽたと泣きながら、それを口に運んだ。
しゃくり上げて、喘ぐように泣く彼女を、僕は何も出来ずに見ていた。

彼女も、僕と同じように、歯痒い想いを抱いている……そんな気がして、
なんだか、せつなくて。

彼女に何かしてあげたくて。
何も思い付かなくて。

あげられたのはまずい紅茶と、頂き物のカステラだけ。

しばらく泣いて、彼女は帰って行ったが、


……それでも、
僕は彼女が忘れられずにいた。




また、いつか彼女が此処に来たら、
僕は必ず、声をかけよう。

そして、次は思った事をしっかりと口に出そう。


それまでは、
……もう少しだけ、この仕事を頑張ってみよう。





.
V705SH
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≫ オーファ64
By 時緒
2007-02-22 02:59:03
はじめまして。ダージリン、アールグレイ、サティで書かせて頂きました(*´∨`*)


山高帽をかぶり、ステッキを持っている老紳士がごく小さく中央に描かれた扉は、この店の一つの顔のようなものだった。
とは言えそれは注意しなければ見落としてしまうくらいの主張だったので、あまり気付く客はいない。しかしカーペィは気にしない。それが彼の自己満足だからだ。
カーペィは今日珍しく私に銀のスプーンを与えた。切り絵のインド女が踊る小さな缶からは甘酸っぱい薫りがしている。私はひと匙掬い、あらかじめ温められたティーポットに落とした。ここからはカーペィの領分になる。紅茶の作法など分からない私に彼はいつも困ったものだから取り出す。それには影絵の様なイラストが描かれており、象に乗った王子が描かれていた。異国でも優雅なさまだ。
そして、これは早摘みでね、青臭いけれどそれがいいんだ、ほら、匂いが素晴らしい、とうそぶく。
カーペィはダージリン、私はアールグレイ。この差が店主と名ばかりの客との違いなのだろう。
今日は客が来ない。毎日日課に通う私以外に人の姿はない。
私がここに来るようになったきっかけはあの扉のイラストを気に入ったからだ。かの奇抜な音楽家を信奉する店主が気になったし、特注してまでのこだわりに興味がわいた。
家から思ったより近いここを知らなかったのはやはりこの店主の怠慢なのだが、この店にいつづける理由も、やはりこの店主の怠慢だ。この店の名前、オーファ64という狂った名前からも分かる通り、カーペィはエリック・アルフレド・レスリ・サティを愛していた。78回転のレコードはいつもサティを流していたし。しかしなぜサティなのかは分からない。私には量り知れない。
こんな憂鬱な曲ばかりかけて何を考えているのだろう。益々客が減るじゃないか。
また針がとんでしまった。カーペィは急いで蓄音機に歩み寄る。顔色も変えない癖に、ビクターの犬みたいに音に忠実だ。
針を戻すとカーペィはまた元の位置に戻る。客を待つふりをして、時折テーブルを拭いてみたりもする。
そしてこの心地好い時間がもしかしたら彼一流の嫌がらせなのかもしれないなと、私は山高帽を見て思うのだった。


次はスカート、カステラ、図書館でお願いします。
W42K
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≫ 幸せだなあ
By はねさか
2007-01-24 17:37:28
銭湯、フルーツ牛乳、体重計で頂きました。


百円硬貨を投じて牛乳を買うのは風呂屋を訪れた時の定番である、と思う。例に漏れず私の家にもその習慣がある。父はコーヒー牛乳、私と母は白い牛乳、一番年少の妹だけがどういうわけかこの習慣から取り残されて、横に並んだ自販機でスポーツドリンクを求めるのが毎度のことである。
「ね、どうして牛乳飲まないの。美味しいのに」
「これも美味しいよ」
どうして、と聞きながら実のところ私はその答えを知っている。年頃の妹はダイエットと称してサウナにばかり隠っているから、牛乳では水が足りないのだろう。先程も、脱衣所の隅に置かれた体重計とにらめっこしていた。
「ほら、浸透圧の関係とか」
「そんなことないわよ。父さんだってサウナ好きじゃない。第一、長いこと牛乳が置かれてきたんだから牛乳だってその、浸透圧だっけ、それにかなっていそうなものよ」
もっともである。
ではどうして妹は牛乳を嫌うのだろう。普段はカフェオレを求めて飲むのに、どうしてここではコーヒー牛乳を飲まないのだろう。
「フルーツ牛乳はどう、甘いよ」
やっぱりいらないか。
なんでだろう、と呟きながらこの生活は幸せだなあと思った。ほら、「銭湯」って悲しいお話ばかり聞くじゃない。当たり前の生活がずっと続けばいい。
「ね、コーヒー牛乳はどう」



次のお題はダージリン、アールグレイ、サティでお願いします!
W43S
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≫ 送り出す風
By アルファ
2007-01-16 17:13:12
 季節は巡れど、時間は巡りはしない。
同じ時間が無い様に、同じ風も吹きはしない。

 けれど……願わくば今私が感じている風を、君にも感じて欲しい。
一緒に出掛けた土手で握りあった手の様に、この風も暖かいから。


「季節はいつからが始まりなんだろう?」


 その不思議な問いに、私は少し戸惑った。
そんな事、考えてもみなかった。


「春じゃないかな?
春夏秋冬と言うぐらいなんだから」


 模範的解答だったと、後から笑われたけど……じゃあ君はいつが始まりだと思ったんだろう。

 私が道を歩く度、君は後からついて来る。
私はそれが少しだけ嬉しくて、いつも早足で歩いていた。
君が私と並んで歩きたかったなんて、全然考えてもみなかった。

 思えばいつも、私は何も考えていなくて、君の考えには驚かされるばかりだ。


「風……気持ち良いよ」

「そうだな……」


 立ち止まり、ゆっくり土手に腰を下ろす。
君は照れくさそうに、私の手を握った。





リーンゴーン
リーンゴーン……



 鐘の音を感じて、閉じていた瞼を開ける。

 ずっと2人で……とはいかないけれど。
この瞬間だけは、きっと何年先でも鮮やかに思い出せるだろう。

「お父さん……今まで育ててくれて……」

 震える唇からは、言葉は紡がれない。
代わりに君は化粧も気にせずに大泣きして私にしがみつく。

「おいおい……旦那様が妬いてしまうよ」

「良いのっ!」

 白いドレスに身を包んだ姿は、寂しくもあり嬉しくもあり……。

 でもやっぱり、少し寂しい……。

「ほら、今日が君達の始まりなんだから。
微笑んでおくれ」

 君の事を、この春風も祝福してくれている。





ギャーっ!難しいっ!
お題が複数っていうのは難しいデスネ(^-^;)
なんとか2000文字以内に収まりました〜っ。

次のお題は【銭湯・フルーツ牛乳・体重計】
ちょっと難しいかも…。

W32T
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≫ 雪のスミレ
By 楓
2007-01-06 23:59:05
「ねぇ、雪だるま作らない?」
 そう提案したのは、彼女だった。
 とある町の、とある温泉宿。雪の降りしきる冬の日の夜。
 白く染まった日本庭園を眺めながらコタツに入っていた僕に、彼女が咳をしながらそう言ったのだ。
「何のためにここに来てると思ってるんだ……?」
 僕が呆れたよう呟くと、彼女は顔の前で手を合わせ、「お願いっ」と懇願した。
 彼女の頼みに弱い僕は、体調が悪くなったら必ず言うよう念を押してジャンバーと手袋を身につける。
「ありがと。ごめんね、無理言って」
 そんな僕に、彼女はすまなそうにもう一度手を合わせたのだった。
 窓を開けて庭に出ると、凍てつく寒さと一面の銀世界が僕らを迎えてくれた。
 雪は意外と積もっており、僕の足は膝下まで埋まってしまう。これは後で温泉に入る必要がありそうだ。僕たちがいる庭園を眺めながら入れる岩風呂が、この宿の名物だ。
 彼女は外に出るなり歓声を上げ、雪をかきわけて走っていく。
「足下気をつけろよ!」
 僕の心配なんて何処吹く風で、
「だーいじょーぶー! ねぇねぇ、早くこっちおいでよ! すっごいよ!」
 ぴょんぴょん飛び跳ねながら僕を呼んだ。
「雪だるま作るんじゃなかったのかー?」
「つくるー!」
 子どもだ、と僕は苦笑する。
 彼女は今までずっと病院で過ごしていたのだ。ストレスがたまっているのかもしれない。僕にできることは、彼女に少しでも楽しんでもらうこと。
「それじゃ、でっかいの作るぞ!」
 僕は掌サイズの小さな塊を作ると、雪の上を転がし始めた。
 雪玉はすぐに大きくなっていく。まるで、自分に足りない何かを補っていくかのように。
 しばらくしてから振り返れば、僕や彼女の通った跡に道ができていた。
 これから何があるかわからない。石があるかもしれない。池があるかもしれない。でも、来た道を戻っても、決して大きくはなれないのだ。僕はそんなことを考えながら、更に雪玉を転がしていく。
 楽しそうな彼女のはしゃぎ声が聞こえる。彼女の進む先には何があるのだろうか。転がせる距離は長くない。それだけはわかっているのだけれど。
「おーい! こんなもんでどうかな?」
 声に振り向くと、彼女は五十センチほどになった雪玉に手を置いて、どこか誇らしげに微笑んでいた。
「あぁ、バッチリだ!」
 僕は笑顔を見せる。
 自分の雪玉を彼女のもとへ転がしていき、その上に彼女の雪玉を二人がかりで持ち上げる。
 下が僕で、上が彼女。巨大な雪だるまのできあがりだ。
「後は顔と手だね」
「え? 表情作るのか?」
 びっくりして聞き返した僕に、彼女は不満そうに膨れて言う。
「当たり前だよー。顔がなかったらただの雪玉じゃない」
「さいですか……」
 こうして、顔探しが始まったのだ。
 手と口は細い枯れ枝が見つかったから良かったのだが、目になる部分の捜索は困難を極めた。
 ここ掘れワンワンとばかりに片っ端から雪を掘っていくのだが、綺麗に手入れされた庭には丁度良いものは何ひとつ落ちていなかった。
「ちょっとこっち来て!」
 ほとんど諦めかけ、木で目を作ろうか考えていた時、彼女が僕を呼んだ。
「ほら、これ」
 彼女がしゃがんで指差した先、岩と岩の隙間に、小さな紫色の花が二輪だけ咲いていた。
「スミレ……か? この時期に?」
 そこは温泉のお湯が届かない、尚且熱で雪が積もらない、そのギリギリの位置にあった。
「すごいよね」
 彼女はそう言って咳き込んだ。
 大丈夫かと声をかける僕に苦しそうに微笑んで、彼女は手袋を外して花に触れた。慈しむように、雪のように白い手で。
「私なんて、少し寒くなるだけでくじけそうになるのに」
 すごいよね。彼女はもう一度そう言った。
 その時の彼女の背中が、どうしようもなく悲しそうだったのを、僕は今でも覚えている。
「えいっ!」
 振り払うように、忘れ去るように、彼女は二輪の花を勢いよく摘み取った。
「私も頑張らなきゃ」
 彼女は摘み取った花を持って、雪だるまのもとへ向かう。
 目にするにはあまりにも小さい花だったが、彼女は気にしなかった。
 ものすごい間抜け顔の雪だるまの誕生だ。
 思わずくすりと声を立てて笑ってしまった僕に、彼女は手を差し出してきた。
「手袋貸して」
「かなり凝るなぁ……」
 僕は呆れたように呟いて、両方の手袋を彼女に手渡す。
「右だけでいいよ」
 しかし彼女はそう言って右手袋だけを受け取ると、自分の左の手袋を外し、雪だるまに身につけさせた。
「寒いだろ」
 彼女は首を横に振る。
「こうすれば、寒くないから」
 そう言って、僕の右手に左手を重ねた。お互いの手は冷えきっていたけれど、彼女の無邪気な笑顔を見ていると、それでも良いような気がしてきた。
「戻ろっか」
 しばらく雪だるまを見つめてから、彼女はそう言った。
 僕たちは手を繋いだまま部屋へと戻っていく。
 これから温泉に入ってあったまろう。
 彼女にいろんな話をしてあげよう。
 とある町の、とある温泉宿。雪の降りしきる冬の日の夜。彼女と過ごした最後の夜が、間抜け顔の雪だるまに見守られて、静かに終わりを告げたのだった。



END


 う〜ん・・・こんなものでしょうか。微妙に2000文字超えてるような・・・。後で下の方読んだら雪だるまネタがもうあったことに気づきました(汗

次のお題は「春」「風」「始まり」でお願いします。
pc
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≫ 温かい手
By 仄日 彰
2006-12-30 01:03:05
 僕は“母の温かい手”を知らずに生まれた。

 父に聞いた話では、母は決して病弱ではなかったらしい。写真の中で微笑む母は、若々しく健康的で暗い影一つ見あたらなかった。
 だが、胎児──つまり僕が成長するにつれ母は弱っていった。出産日より遥かに早く母は産気づいた。烈しい痛み。

 ──ああっ!
 ──橘さん、橘さん頑張って!

 泣いている。うなっている。僕は……白濁とした意識をさまよっていた。
 甲高い女性の喘ぎ声の合間から優しい囁きがが聞こえた気がした。

 ──もうすぐよ、もうすぐ逢えるから……。
 ──くるしいの?
 ──……平気よ。貴方に逢うためだもの。

 その瞬間、僕は光を見た。──訳も分からず僕は泣いた。

 分娩台に力なく横たわる女性の目尻から優しさと温かさが流れ落ちた。──そのまま女性は深い眠りについた。

 色鮮やかなのケーキを前に父は言った。
「尊は生と死を一度に体感したんだな……」

 僕は生と死の間に産まれた子供。
 愛情と憎しみに挟まれた子供。
 生んでくれてありがとう。そしてごめんなさい。


END

何か中途半端&意味不明デスね…。

次は「雪」と「花」と「手袋」でお願いします。
F902iS
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