鍛えぬいた荒くれ者のような、それでいてどこか脆さを感じさせる、しなやかな体を窓ガラスに押し付けた。 黒髪は日を照り返し、太く傷んでパサついている。整髪料とシャンプーの香りが鼻をくすぐった。 粗野でいて身だしなみに気を配る男からは不潔な脂のにおいはしない。涙に濡れる青い瞳は、まだ服従しきっていない。打ち捨てた十字架に伸ばした手を掴んで、ガラスに押し付け、一気にいれてやった。 背中が弓のようにしなる。何度も何度も開いて確かめた場所は、聖処女のようだった男を堕落させ穢れさせるには最適だった。 男には教えてやらねばならないのだ。神が主ではない。神がこの男を飼っているのではない。 神のために手を血に染め、神に擁かれるために引き金を引き続けたこの愚かな男が、 いずれ己を殺しに来ると知っていた。 この男の、美しく成長した体と、純潔の心を引き裂くその瞬間を、何度よだれをたらす気持ちで待っただろう。 いずれ来るとわかっていた。 心からその日を待っていた。 だから、この巣のなかに この、甘い、甘い、地獄の中に 自分から堕ちてきた彼を、手放すはずなど、あるはずもないのだ。 彼はもう、窓の向こう、首を傾げる白鳩の様に穢れ無きものなどではないのだと 彼が思い知るように、十字架に向かって精を吐き出させてやった。 彼はうめくように泣き崩れ、 わたしの精を受け止めて、また泣いた。 かれに、囁いた。 「あいしてるんよ?ジルディアーノ」 ようこそ 狂った愛へ 神より深く 愛してあげる [*前へ] [次へ#] [戻る] |