すずりん様から頂きました!(青祓・ネイ雪)
※短文小説をつけさせていただきました。
すずりんさんありがとうございます!!



二人の元へ娘が誕生して早一ヶ月。
15歳最年少祓魔師として悪魔祓いする雪男よりも、上一級祓魔師のネイガウスの方が任務に着いた方が危険も少なく良さそうなものだが、ネイガウスは現在停職処分中の身。
なのでお産明け早々に雪男は育児をネイガウスに任せ(押し付けて?)職場へ復帰した。

というのは表向き。


しかし本当の理由は、別なところにあるのをネイガウス以外実は雪男でさえも知らない。
なんせ頭も顔も良い、人当たりも良くて仕事もできると来たら何だか素晴らしい人物のように聞こえなくもないが、家事は全く以て人並み以下の雪男なので、赤ん坊など面倒みようものなら、まずはミルクを作るのに額面通りの分量や湯の熱さをこれまたきっちり計ろうとするものだから、お腹の空いた赤ん坊には不幸なことこの上無い。
オムツ替えに至っては、やれ緑色のウンチが出た病院に行かなければだの、紙オムツは通気性が悪いから布を使おうだの(わざわざさらしを買ってきて手縫いしようとしたときには、絆創膏が果たして何十枚いるだろうかと頭が痛くなった)・・・。
最初こそ微笑ましく見ていたネイガウスであったが、一事が万事その調子であるものだから、余りにも赤ん坊が不憫になり(なんせ生まれたばかりなのに、お預けばかり食わされているのだから)、ついでに自分の精神衛生上にも良くないと悟ったので、
「俺が全て面倒を見るから、君は安心して仕事に専念してくれ」
そう言い切ってしまったという訳だ。


「雪音」


お腹を満たされ、小さな排気をした赤ん坊は、ネイガウスの腕の中で可愛らしく欠伸をする。
ゆきね、という名前にしたのは、雪音が雪男によく似て雪のように白い娘だったからだ。
雪男の方はネイガウスの国の名前を付けたいようだったが、この雪の化身を思わせる白い赤子には、日本の名前の方がよく似合っているように思えた。
ふくふくした白い指が、ネイガウスのシャツを握り締める。その仕種に目を細めると、赤ん坊は模倣笑いのように口許を僅かに綻ばせる。
「・・今度こそ、お前を守ってみせよう」
世界から消えてしまった幼い面影を思い浮かべながら、ネイガウスは雪音のほんのり淡い頬に唇を寄せた。


甘く、柔く、頼りなく。


なにものにも代えがたい存在を、この手の中に再び与えてくれた雪男に、心からの感謝と愛を誓いながら。




おわり
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