小悪魔(SS付き)※微エロ
クゥと切なく鳴る腹を押さえて僕はため息を吐いた。
「はぁ……、お腹すいた」
僕たち悪魔は人間からエネルギーを奪う存在だ。
主に奪ったエネルギーは生きるのに使われる、つまり食べる。
そのエネルギーは人間の運だったり、欲だったり、命だったり、種類はさまざまだ。
個人の味覚によって美味しいと感じたり、まずいと感じたりもする。
悪魔の間でもっともポピュラーなエネルギーは苦痛。
人間が苦しんだり、悩んだり、嫌がったりした時に生じるエネルギーは悪魔にとってとても美味しく、一度に採取できるエネルギー量も多い。
人間は苦痛を感じやすい生き物なので、苦痛を糧にする悪魔は生きやすい。
僕も苦痛を食べる事があるけれど、1番好きで1番満腹感を与えてくれるのは性欲。
誰に向けられたものでもいい。
強い性欲が、食べたい。
「どう、しようかな……」
いつもならそこらを漂う苦痛を食べて誤魔化してしまうのだけれど、長い間性欲を食べていなかった為苦痛を食べても物足りない。
しかも今日は何故かとても美味しそうな気配がするのだ。
極上の性欲がお腹いっぱい食べられる、そんな気配が。
口の端をタラリとよだれが伝う。
僕みたいな小悪魔が人のそばに近づくのはリスクが大きい。
何せ力は人間と変わらない程度しかないし、魔力だってすぐに尽きてしまう。
諦めて苦痛を食べるのが賢い選択なのはわかっていた。
でも、
「う、うぅううう…っ、お腹空いたぁ!」
小さな羽を広げて暗い空を飛ぶ。
ヒクヒクと鼻を蠢かせ、僕は自分の好きな匂いのする方へと大きく羽を揺らした。
(ちょっと、ほんのちょっとだけ食べたら帰れば大丈夫だよね!)
その後、とても美味しい性欲をお腹いっぱいに食べて満足して眠ってしまった僕は、人間に捕まってしまうんだけれども、この時の僕はまだ知らない。
そして、自分に向けられた強い性欲が身体を蕩けさせるように美味しいことも、まだ……。
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