[携帯モード] [URL送信]



とある竜木の話(小噺)※サイズ大


むかし むかし あるところ
立派な大木と ひとりの男がいたそうな

むかし むかしの 争いは 男のもとにもやってきた
男は必死に戦い抜いて 多くの仲間を救ったが
哀れ巨木は焼け焦げて 男はたいそう悲しんだ

宴の音が響く中 巨木を悼む男がひとり
悼みの酒が洞へと滲みると
炭の巨木は竜へと変わり 男に優しく語りかけた

猛きいくさに身を置きながら 慈悲の心を忘れぬ者よ
幸運は汝にこそあれ わしの欠片を授けよう

若葉芽吹くひとえを残し 竜は天へと昇っていった
その後男は愛を得て 末永く幸福に暮らしたそうな

***************

「ええ、この不思議な枝こそかの希少な竜木で間違いありませんよ。
これを何処で見つけたって?教えてもいいですが、後悔しないで下さいよ?
こいつはとある、商人の胸に突き刺さっていたんです。
銀貨一枚と引き換えにこいつに触れれば、幸せになれるって話でした。
いざ俺がこいつを買い取ろうとすると、突然枝が動き出して… ズドン ってね。
嘘か本当か、信じるは貴女の自由。引き取るならば、ちゃんと供養して下さいよ。
それにしてもどうです、この美しい花は。まるで血を吸い上げたようでしょう?」

[*前へ] [次へ#]
[戻る]


無料HPエムペ!