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希々様よりイラスト
希々様から、「ふきげんなご主人様」のナーラムを描いて頂きました!
イケメンとかいう設定すら超越した美貌がまさにここに!(脳内で変換推奨)
このお方を普通に相手する主人公が未知の生物に見える事うけ合いですね!
私は魂抜かれました(白状)。
調子付いてナーラム視点で小話も書いてしまったのでお暇な方はずいと下にどうぞ…。



ふきげんなご主人様小話※本編のイメージを破壊する恐れがあります。



「キエエエエエエエエエ、キエエエエエエエエエエエエエエ」
「……ええと、あの、……元気な植物ですね」
 俺の横でしゃがんでいるルゥは「ショウジロウ」を見てそう言った。
ショウジロウは最近改良をした食虫植物で、今日も元気に鳴いている、こいつもルゥに会えて嬉しそうだ。
俺も、嬉しい。
「鳴き声を発する植物なんてナーラム様にしか作れませんよね」
 にこにことそう言われて、また嬉しくなる。
俺は今、毎日が、とても楽しい。
 俺は思っている事を、上手く、全部口に出来ない。
変だと言われ続けた、変わってる、病気だ、何かが取り憑いている――そんな風に。
そんな俺を、仕事でたまに会うヒューゴはどうでもいいし、ドレイツは適当に判断して諦める。
ルゥだけが、違う。
俺の言葉を聞いてくれる、意味を考えてくれる、返事をしてくれる、凄いと笑ってくれる。
きっと、ルゥの方が、ずっと凄い。
「昔から植物がお好きだったんですか?」
「ん、最初、サボテン、イチロウ、貰った」
 どこかの国の植物だと最初に貰った植物、トゲが付いていて変な形で触ると痛くて……俺と似てた。
「ナーラム様の最初のお友達だったんですね」
「……ん」
 イチロウは好きだった、あの頃はイチロウしか話す相手がいなくて、でもあいつは俺の話を聞いてくれた。
もっと話す相手が欲しかった、沢山いれば俺は大丈夫だと思えたから。
植物は好きだ、俺が手を掛ければ思う通りに育ってくれる、話も聞いてくれる、言葉はないけど返事だってしてくれる。
 でも、今は、ルゥも好きだ、多分、もっともっともっと、好きだ。
ルゥは可愛い、小さくてあったかくて、元気で。
怒っても可愛いけど、ルゥは笑うと一番可愛い、だからもっと沢山笑ってくれたらいい。
「これってどんな虫を食べるんでぎええええええええっ」
 後ろからぎゅっと抱きつくと、やっぱりとても温かい、それにいい匂いがする。
だからショウジロウにも同じ匂いを付けてみた、きっと俺と同じようにもっと近づきたくなるから。
「放してくだだだだだだ」
「一体、何を、している」
 ルゥも植物も好きだ、でも俺はこいつが最近嫌いだ。
「ひゅー、さ、くびっ絞まっ」
 首の後ろの服を放されたルゥはげほげほと咳をする。
ルゥを抱き寄せて後ろに庇うと、ヒューゴはふんと鼻を鳴らした。
ルゥは植物じゃない、俺の他にもにこにこする、それはわかってる、俺と同じ――こいつも。
だから俺達は、お互いにどうでもいいのに、嫌いだ。
「そろそろ時間だ、行くぞ」
 俺を睨んだヒューゴがそう言って背を向けると、ルゥは慌ててその後を追って振り向いた。
「また新しいのが育ったら見せて下さいね」
 頷くと、ルゥは笑って駆けて行く。
「キエーッ、キエエエエエエーッ」
 俺と同じで、ショウジロウは寂しそうだ。
でもルゥはまた笑ってくれる、明日も、いつでも。
だから俺は最近植物がもっと好きになった、ルゥが笑ってくれるから、もっと沢山作って見せたい。
「…………食虫、植物……」
 ぶんぶんと頭を振っているショウジロウを見る。
もっと改良をしてみよう、あいつとかあいつとかあいつとか……ルゥを困らせる奴を食べられるように。
俺はまた楽しくなった。


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